斜面防災技術

雪崩対策

 雪崩の対策には図2に示すように多くの工法があります。この中から最適な工法を選定するには様々な条件や経済性・施工性・メンテナンスの簡易性などを考慮した上で総合的に比較検討して決める必要があります。

図2 主な雪崩対策工一覧

 典型的な雪崩地を図3に示します。雪崩地は、発生区、走路、堆積区の3区から構成されますが、実際には走路が短くて発生区と堆積区が直結している場合、数カ所の発生区から成る場合など様々です。 以下に、発生区・走路・堆積区別に一般的に適用できる対策工を示します。個々の場所に最も適した対策工を選定するには、様々な条件を考慮する必要がありますが、最終的には、施工性および経済性を検討し、必要に応じて景観を考慮して決定します。

図3 典型的な雪崩跡

1. 発生区

 発生区は雪崩の発生を防止することが主目的なので、雪崩の種類によって構造物が異なります。例えば、表3に示すように、全層雪崩であれば雪崩予防柵全てが検討対象ですが、表層雪崩では半分以上が対象となりません。

表3 発生区での対策工の例

2. 走路

 走路で使用される対策工は、誘導工・減勢工・防護工です。誘導擁壁・誘導柵・誘導堤・誘導溝は雪崩が防護物に到達するのを防ぐために雪崩の進路を変えるものです。雪崩割りは橋梁の橋脚、トンネル口や鉄塔などに用いられます。

3. 堆積区

 堆積区では、主として阻止工が用いられます。防護柵・防護擁壁は斜面勾配がおよそ20度以下の地点に設置されますが、その際には、雪崩を堆積させるのに十分な堆積場所が必要です。

引用文献・参考文献

  1. 1)除雪・防雪ハンドブック(防雪編)、社団法人 日本建設機械化協会・社団法人 雪センター、pp.97-98、pp.120-121、pp.143-145、pp.166-171、2005。
  2. 2)新編防雪工学ハンドブック、社団法人 日本建設機械化協会、森北出版、pp.157-165。
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