斜面防災技術

雪崩調査概要

1. 雪崩発生予測のための調査

 雪崩の発生予測には、場所・時間・規模の3要素の予測があります。雪崩の発生には地形条件・気象条件・人為的条件などが互いに絡み合いながら関わっています。そのため、先に述べた3つの要素(場所・時間・規模)を全て的確に予測することは困難ですが、それぞれの要素について表2のような予測が行われます。

表2 雪崩発生予測の3つの要素とその内容(文献1)

2. 雪崩災害調査

 雪崩災害の現地調査は、雪崩の痕跡がその後の降雪で覆われたり、雪質の変化が起きる前に、発生後、できるだけ早く積雪の状況(積雪深・断面や雪質、すべり面観察など)や雪崩全体の把握などの調査を実施します。しかし、雪崩災害発生時には、多量の降積雪や悪天候で現場に到着するのに時間が掛かったり、調査時間にも制限があるので、悪条件の中では二次災害に注意しながら必要最低限の項目を手際よく実施しなければなりません。

3. 対策施設計画のための調査

 この調査の目的は、路線沿いの雪崩発生危険斜面の把握と対策施設の必要度の判定、対策施設の計画立案の資料を得ることです。まず、既存資料で概略的な調査を行い、更に詳しい調査が必要な場合は雪崩危険斜面に絞って詳細調査を行います。しかし、この対策施設計画の調査は、確立された調査要領があまりありません。このため、過去の多くの対策事例の経験から導き出された方法が採用されています。
 対策施設の計画にあたっては、雪崩災害を防止するために最も合理的で経済性を考慮しなければなりません。このためには調査の際に雪崩の種類を考慮し、対策工の機能を熟知した上で実施することが必要となります。

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