日本国内には多数の「がけ」が存在します。がけは急傾斜地の斜面そのものや、降雨や地震などにより崩れた後の斜面を指します。
がけが形成される原因は、その土地が持っている性質(地形の傾斜や表流水の存在、地質構成など)や、引き金となる現象(豪雨、融雪、地震など)が関係します。平坦地や斜面の傾斜角度が緩い場所では、引き金となる現象が生じたとしてもがけは形成されません。がけが形成されるためにはある程度以上の斜面の傾斜角が必要です。この傾斜角度は、斜面の形状や構成する地質などの違いにより、一概には決められません。斜面が土砂等で構成される場合、岩石等で構成される場合では、がけの高さや傾斜角度が違います。また、がけが崩れる速さは地すべりと比較すると極めて早く、発生してから避難することはできません。このため、降雨や地震などによりがけが崩れないようにする対策工事が必要になります。また、近年ではがけが崩れる前に避難を行うなどの対策が導入されています。
国土交通省では、傾斜角が30度以上、急傾斜地の高さが5m以上、急傾斜地の崩壊により危害の生ずる恐れがある人家が5戸以上ある場所、または5戸未満であっても官公署、学校、病院、旅館等に危害が生ずる恐れのある場所を「急傾斜地崩壊対策事業」として取組んでいます。全国では約113,000箇所が急傾斜地崩壊危険箇所に指定されています。この対策事業により、擁壁工・のり面保護工・水抜き工などの様々な対策工事が実施されています。