私たちの居住する日本列島周辺は、4種のプレートが影響しあう地震活動・火山活動の活発な地域です。規模の大きな構造線や無数の活断層が存在し、急峻な地形・複雑な地質・脆弱な地盤から斜面災害が発生しやすい環境にあります。加えて、降水量も世界の年平均の約2倍に及び、脆弱な地盤をさらに不安定なものにしています。
紀伊半島豪雨、九州北部豪雨、伊豆大島災害、広島災害等、近年、雨の降り方が苛烈を極め、東海・東南海地震が危惧されるなか、東北地方太平洋沖地震を機に日本列島は地震・火山活動の活発な時期に入ったとも言われています。
また、広島災害でも見られるように、斜面近傍に住宅が立地するなど、斜面災害に対する脆弱性も増加したままです。
このような環境の下、行政も国土強靭化基本法に基づいたアクションプランのなかで、斜面災害等土砂災害対策を重点化事項の一つとしてとりあげ、「大規模自然災害が発生したときでも人命の保護が最大限図られる」ことを事前に備えるべき目標のひとつとしています。また、「大規模な火山噴火・土砂災害(深層崩壊)等による多数の死傷者の発生のみならず、後年度にわたり国土の脆弱性が高まる事態」を回避するための重点化プログラムとして、「観測・調査・把握結果に基づき、訓練・避難体制の整備等のソフト対策との連携を図りつつ、効果的・効率的な手法による災害に強い森林づくりや土砂災害対策等を総合的に実施」するための施策が示されています。
当協会は1974 年(昭和49)に地すべり対策技術協会として発足し、2005 年(平成17)に斜面防災対策技術協会として斜面防災の問題を解決すべく計画・調査から施工までの異業種連合協会として、地すべり・急傾斜・雪崩などの斜面災害全般の対策を視野に活動を続けてまいりました。
また、2013年(平成25)11月に、全国13支部と共に「一般社団法人」に移行して組織強化を図り、2014年(平成26)5月には公益社団法人日本地すべり学会と、地すべり等斜面防災対策技術の調査、研究、開発、普及等に関して協定を締結し、協同して災害対応、研究開発、人材の育成等の公益活動態勢を強化いたしました。
一般社団法人斜面防災対策技術協会は、上記の重点化プログラムの達成に、組織を挙げて協力・支援するとともに、従前からの活動に加えて、災害時の迅速な調査協力、持続可能な斜面維持管理手法の提案、時代に適合した歩掛りの提案、地すべり防止工事士等の豊かな経験と確かな知識・技術を有する資格者の育成等をもって次代の防災技術に貢献してまいります。