制作:(株)相愛
のり枠工の劣化・損傷は、各部材の断面が薄く面状に配置される特性を反映して、枠材の亀裂・破断や中詰材のひび割れ・はらみ出し・背面空洞化などの多様な現象が現れる(表1)。
のり枠の観察は、なるべく正面に近い位置から行うことが望ましいが、現地条件からそれが困難な場合は、起終点側へ移動しながら全体形状を目視して、異常箇所の抽出を行う。
点検にあたっては、目視確認できる項目のみを点検票に記入し、確認できない項目についてはその理由を記載する。
また、本点検で確認できない項目は、詳細調査(近接点検)によって確認することを前提としている。
一方、明瞭な異常や機能低下が発生しており近接目視が必要な場合についても、詳細調査(近接点検)を実施する必要がある。
各構造(枠材・中詰材、排水施設、基礎工、周辺地盤)の変状レベルの評価基準と点検票及び総合判定については、「斜面対策工維持管理実施要領」を参照されたい。
のり枠工は、地山に密着していることから、機能低下の要因には風化進行・斜面変動など地山に起因するものと、部材の経年劣化によるものが挙げられ、複合的な現象として現れる。
詳細調査では、まずのり枠工の施設全体について近接点検を行う(写真1、表2)。
一定範囲に亀裂・剥離・ひび割れなどが確認されたり背面空洞化が推定される場合は、枠材と中詰材(吹付)に対してコア抜き調査と熱赤外線調査の適用性を検討する。
近接点検は、近接目視と打音調査を併用して変状の面的な分布を確認し、のり枠工全体の劣化・損傷の発生範囲と変状レベルを把握する調査である。
施工年度や構造単位または延長方向の連続性などから対象のり面をエリア区分し、さらに1つのエリアが長大となる場合は、作業性と調査精度を確保するために、全体的な外観と縦水路や施工目地などを目印として、点検区間を細分割する。その調査単位ごとに、劣化・損傷の程度を評価する。
併用されているアンカー工や鉄筋挿入工の詳細調査が必要な場合は、別途に実施する。
近接点検の手順を、図2に示す。
のり枠工は、枠材が一体となってのり面安定効果を発現していることから、その機能低下の評価は、変状箇所が認められる部材の面積がのり枠全体面積に占める割合で判定する。
対象とするのり枠工について図4に示すように縦枠と横枠に番号付けを行い、変状箇所に番号付けを行って、単位部材に区分する。
その単位部材毎に個々の劣化・損傷の状況(変状の特徴)を調査票に記入する。
その他の施設区分(中詰材・排水施設)の変状レベル(1~3)と劣化診断基準(a~c)及び詳細調査票(2)と総合判定(Ⅰ~Ⅳ)については、「斜面対策工維持管理実施要領」を参照されたい。
その他の詳細調査手法については、「斜面対策工維持管理実施要領」を参照されたい。
のり枠工の長寿命化及び機能回復手法の分類を、表6に示す。
各手法の適用条件と工法概要については、「斜面対策工維持管理実施要領」を参照されたい。