地すべりが発生する原因を素因と誘因にわけることができます。
素因とは地すべりが発生する場所の地形や地質、地質構造、水文地質条件などが地すべりが発生しやすい状態にあることです。斜面の傾斜、遷急線との関係、移動土塊の地質、地層の走向・傾斜、断層・破砕帯、変質、貫入岩との関係、地下水の集まりやすさなどを検討します。
地すべりが発生する場所には地域的な偏りがあります。また、同じ地域でも発生する斜面と発生しない斜面があります。地すべりが発生する場所には、地すべりを規制する何らかの規制条件があります。
下の図は地すべりを規制する条件の例です。
これらの規制条件によって地すべりが発生する場所やすべり面の位置が決まります。
誘因とは地すべりが発生するトリガーとなるもので、自然的誘因と人為的誘因に分かれます。
自然的誘因としては一般に降雨や融雪に伴う地下水圧の上昇を誘因とする地すべりが多いのですが、ほかにも地すべり末端の土砂が小規模崩壊や河川による洗掘などによって喪失することによるもの、積雪荷重や地震によるものなど様々です。
人為的誘因としては斜面の切土や盛土、トンネル掘削などの土工によるもの、ダム湛水によるものなどです。
つまり、地すべりは、もともと地すべりが発生する規制条件などの素因を持つ斜面に誘因としての何らかの作用が生じたことによって起こるのです。
地すべりが発生する直前には地すべり周辺部に小さな崩壊が発生するとか、湧水が濁るなどの現象が発生することがあります。豪雨後の数日間や融雪時にそのような現象が発生した場合は注意が必要です。