取材日時 | 平成28年11月29日(火) 13:30~17:00 |
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取材場所 | 〒300-0195 かすみがうら市宍倉5707(土浦工場内) |
電話 | 029-831-1911(TEL) |
029-831-9946(FAX) | |
ホームページ | https://www.tokyorope.co.jp/ |
出席者 | エンジニアリング事業部:深井 健二、宮原 良平 東日本エンジニアリングセンター:吉田 泰則、永井 龍知(敬称略) 斜面防災対策技術協会ホームページ委員会:井上 宏、土佐 信一、沓澤 武 |
法面、積雪地関連製品は、主に災害から生命・財産を守ることを目的としたものです。地震や暴風雨、竜巻等、災害といっても様々なケースが想定されますが、起こりうる事態をあらかじめ想定しておくことで『リスクコントロール』危機回避が可能なことから、エンジニアリング事業部では法面、積雪地関係として防災製品を開発・提案をしております。
法面全体におけるリスクとして、災害などにより外的要因から、岩塊や礫が母岩より剥離したり、砂礫層中の岩塊・礫が抜け落ちる等が挙げられます。このような想定されるリスクに対して、『落石対策便覧』に則り落石パターンの分類を行うことで、それぞれの現場における最適な提案を行います。一番の対策としては、危険箇所について岩除去工を行い、危険因子自体そのものを取り除く方法が確実ではありますが、それぞれの全てに適用できる訳ではございません。弊社がご提案している製品は、そのような現場に対し、危険因子(岩)を取り除くことなく落石の対策を行うというものです。主に、発生源自体を抑える『落石予防工』と発生源からの落石を待ち受ける『落石防護工』の2つに分類され、現場ごとに法面の防災製品として最も適した工法のご提案をしております。
積雪地関係製品では、法面製品で着目していた岩塊とは別に、雪に着目した防災製品となります。寒冷地では、落石とは別に雪崩などによる雪の災害が非常に多くなっております。そこで、落石の対策と合わせて、雪崩対策として積雪地関係製品としてラインナップしております。
落石・雪崩災害から、人命・保護対象・信頼を守るために、現場ごとにあらゆるケースを想定して製品のご提案を行います。
表層崩壊予防工法のミラフォースⅠ
鋼管杭を鉛直方向に打ち込む表層崩壊予防工です。杭工に分類されます。
不安定な移動層を突き抜き、安定した不動層にMF杭(鋼管杭)を設置することで、不安定な移動層(1.0m~3.0m)の表層崩壊を予防する工法です。
軽量で足場が不要な掘削機のエアーハンマーを使用するので、これまで施工のできなかった重機が使用できない場所や、足場が設置できない高所や狭所などでも容易に施工ができます。
移動層深さと勾配により使用する杭本数が決まり、現場状況により経済的にも優位性があります。
従来の土砂部用アンカーに代わる新アンカー「ブレイクアンカー」を開発したことにより、このアンカーを採用した安全面・施工面で優れた製品の販売を推進しております。
このブレイクアンカーは人力移動可能な掘削式の施工機械を使用するため、地盤状況を選ばず施工が可能です。また、従来の土砂部用アンカーにはない引き抜く方向への抵抗力を持ち合わせています。
新工法から従来工法まで、このブレイクアンカーは適用することが可能です。
弊社研究所では各種設備を備えて、ワイヤロープや各種線材の新製品・新技術の「開発」、顕微鏡観察・化学分析・各種測定による「調査」、疲労試験・材料試験による「試験・評価」を行っております。
【代表保有設備】
また、法面関連・積雪地関連製品についても、各種実験施設により実証実験を行い、新製品・新技術の開発を行っております。
【代表保有設備】
※1:カタログ等資料より転載 ※2:取材時撮影
今回の取材は、落石対策工法資材のメーカー様の工場内での実験施設を拝見させていただきました。会社沿革の紹介から明治時代の創業であるとのこと、ロープ製造を通して様々な産業に寄与されてきたことに自分の認識不足を恥じながらも感慨を受けました。
取材は、本文にもあるように落石対策技術を中心に進められましたが、その根幹をなすワイヤーロープの製造ラインを見せて頂くことができました。製造における品質確保のための工夫が詰まっているためここでは写真の紹介ができないのが残念ですが、長大な機械から轟々たる音響の中ワイヤーロープが編み込まれる様子からは、製品のみならず工法技術への品質のこだわりや歴史の深さが伝わってきたように思います。各種各様の特徴の鋼線製造から手がけられているところから、工場には海外から視察に来られる方々もおられるとのこと。素材から工法技術へ全社で取り組んでおられる様子が伝わってきました。
これからも、我々の技術を支える基礎的な素材を提供していただく企業の取り組みが紹介できればと思った次第でした。
(文責:斜面防災対策技術協会 ホームページ委員 沓澤)
①研究所の入り口
②研究所エントランスに飾られた太径ワイヤーロープと取材メンバー
③取材の様子(工場の概要と保有技術について説明を受けました。)
④面材衝撃試験用フレーム
⑤衝撃試験用重錘