(Google Earthの画像より)
(消防研究センターパンフレットより)
取材日時 | 平成21年2月20日(金曜日)15:00~17:30 |
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取材場所 | 〒182-8508 東京都調布市深大寺東町4-35-3 消防研究センター内 |
電話 | 0422-44-8331(代表) |
FAX | 0422-42-7719 |
ホームページ | http://www.fri.go.jp |
出席者 | 消防研究センター:座間信作 研究室長,新井場公徳 主任研究官 斜面防災対策技術協会ホームページ委員会:井上宏,大河原彰 |
消防センターには、「大規模火災研究室」、「危険性物質研究室」、「施設等災害研究室」、「特殊災害研究室」及び「地震等災害研究室」の5つの研究室があります。「地震等災害研究室」では、主に消防活動に即した時間尺度・環境条件で必要な情報を創り出し、共有し、用いるために必要な、知識、技術、仕組みなどについて研究しています。斜面災害などでは、適切な現場対応と二次災害防止についての研究を行っています。
回答2:
地震時に発生するであろう事象のうち、消防機関に関係する部分について、特に焦点を当てて研究をしています。研究の基本として現象を理解することだけにとどまらず、実際に消防防災に資する結果を出すことを重視してアプローチしています。
回答3:
主に研究所内です。
回答4:
学会、研究センター出版物(消防研究所報告、消防研究技術資料)、消防防災講演会など。地すべり関係の研究は、地すべり学会で発表したりしています。
回答5:
消防活動はしませんが、技術的な助言は行います。大規模或いは特殊な災害時には、現地派遣を要請されることもあります。
センターとしての活動では、一般公開(4月)や消防防災講演会などのイベントを開催したりしています。今年は、「地震等災害情報の収集・伝達・活用」をテーマに講演会を行いました。
回答6:
独立行政法人、大学などと共同研究を行っています(2008年度:防災科学技術研究所、情報通信研究機構、東京大学など)。
回答7:
研究センター出版物はHPにて公開していますので、誰でも自由に見ることができます。
(消防センター:http://www.fri.go.jp)
回答1:
震災時など同時に多数の火災が発生した場合に、現在ある限られた消防部隊をどの火災に優先的に出場させれば最も効率的に運用できるかという消防隊の初動時運用の支援情報をほぼリアルタイムに出力するシステムの開発。
回答2:
広域の同時多発火災の延焼予測が短時間で行えるようになりました。1市町村程度の範囲であれば、消防部隊の効果的な投入方法やその効果を予測できます。
回答3:
被災地域内の消防力の初動時運用だけでなく、広域応援部隊が到着する段階における6時間程度以降の延焼状況の予測から、応援消防部隊をどこへどの程度配分すればよいかについての、手法・方法の開発。
回答1:
現地へ向かう消防隊へどのような情報が送られれば効率的か、そのために必要な技術的な基盤はどうあるべきか検討しています。
回答2:
情報の内容や基本的な通信の仕組みについてまとめ、試作システムを開発中。
回答3:
試作システムを用いた検証と改良。
回答1:
崩壊面を遠隔から観測して変形状況を監視する手法の開発。
回答2:
これまで崖崩れなどの災害救助活動では、人の目による斜面監視が中心でした。目視に代わる手段として、レーザースキャナによる手法を開発することで、遠隔からのリアルタイム監視ができるようになり、変形の量や領域を感知することが可能となりました。
回答3:
観測された変形から、猶予時間や危険範囲を決定する方法について研究を進めています。また、長距離での監視にも対応できるように改良していく予定です。
回答1:
水害時などの避難勧告や指示が住民の防災行動を喚起する効果を向上させるための技術や手法についての研究。
回答2:
過去の水害被災地などの経験を聞き取り調査するとともに、防災訓練等において住民への聞き取り調査などを実施し、住民への情報の提供方法を整理しました。また、災害時要援護者への情報提供のあり方について、聞き取りや調査を実施しました。
回答3:
情報提供システムを試作し、情報の提供方法についての検証を実施する予定です。
回答1:
災害対策本部の意思決定を時間管理と情報処理という観点から支援するシステムの開発。
回答2:
自治体はマニュアルを用意しつつも、災害時は現場対応で混乱することが多いので、災害時対応の業務項目の整理や時間管理、マニュアル類の活用をはかるためのアプリケーションを開発しました。これは、操作性等を考慮してマイクロソフトエクセル上で実現していますが、災害業務プロセスに対応した行動支援ができるシステムとして活用がされはじめています。
回答3:
いくつかの消防機関等で試用されており、そのフィードバックを受けてアプリケーションの高度化を行う予定です。
回答1:
土木に関連するものとしては、中型一面せん断試験機(40cm角)や振動実験台などがあります。その他に、火災実験場などで燃焼実験ができるようになっています。
回答1:
個別に問い合わせ下さい。
回答1:
この機会に初めて見ました。
回答2:
斜面災害地における消防活動時に、必要に応じて情報提供。
専門分野:地震学
研究テーマ:長周期地震動の石油タンクなど危険物施設への影響
研究テーマ:警報、住民への防災情報提供
研究テーマ:地すべり、土砂災害地における消防活動の危険性評価
研究テーマ:情報通信、消防活動に役立つ通信システムや情報のあり方
研究テーマ:地震時の消防活動のあり方
今回の対象は、”消防”という日ごろの斜面防災とは畑違いの分野であり、好奇心一杯の取材となりました。当日、消防センターの敷地に入ったときは、消防大学校と併設されている関係で、消防車が通ったり消防訓練をしている風景が目に入ってくるなど、やはりこれまでの取材とは違う感覚もあって、個人的に色々楽しませていただきました。
実験棟など案内していただいた中では、特に実験の度にいつも燃やされているであろう、吊るされた真っ黒なマネキンの姿に衝撃を受けたのと、燃焼実験の際に残っていた物が焼けた臭いが印象に残ってます。
こうした取材を通して、消防活動に直結する研究開発の一端を垣間見ることができましたが、安全性や緊急性にしても、また情報の共有にしても、あらためて消防の困難さみたいなものを感じました。
取材当日は、お忙しい中を座間室長はじめ、新井場主任研究官には大変お世話になりました。この場をかりて深く感謝いたします。ありがとうございました。
(文責:井上)
写真1:消防センター入口と本館
写真2:簡易型地震被害想定システム
地震の諸元などを入力すれば、瞬時に被害想定が行えます。(地震災害研究室で開発)
写真3:水空気2流体消火システム
少量の水で消火でき(放水量は、従来の1/4)、消火用水の流出による影響が軽減できます。
写真4:小型クローラ型移動ロボット
様々な計測装置などの搭載が可能であり遠隔操作で動きます。
写真5:燃焼実験施設
写真6:施設での燃焼実験の様子(実験棟内にあるパネルから)
写真7:中型一面せん断実験
仲に土圧計測装置が取り付けられています。
写真8:マネキン実験室
バーナーによって耐熱マネキンに着せた消防用防護服を燃やす様子です。
写真9:ルームカロリーメータ実験室
酸素消費法という方法で燃焼速度を測定します。