取材日時 | 平成16年11月19日(金)15:00~17:00 |
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取材場所 | 〒305-8687 茨城県つくば市松の里1番地 (独)森林総合研究所内 |
電話 | 029-873-3211(代表) |
FAX | 029-874-3720 |
ホームページ | http://ss.ffpri.affrc.go.jp/index-j.html |
参加者 | 森林総合研究所:松浦純生チーム長(取材当時)・浅野志穂主任研究員・岡本隆主任研究員 斜面防災対策技術協会ホームページ委員会:榎田充哉,堀俊和(取材当時),渡辺寛 |
文書での回答内容:
山地における集中豪雨,融雪,地震,火山活動等に起因する土砂災害危険地判定手法の開発に関する研究を推進。とくに,地すべりや大規模崩壊の発生機構の解明とそれらに対する危険度評価および対策。
回答1:
・森林総合研究所の土砂災害に関連する部署として、1チーム長2研究室(災害危険地判定チーム長、山地災害研究室、治山研究室)がある。この内研究テーマとして地すべりを主に扱っているのは災害危険地判定担当チーム長及び山地災害研究室のメンバーである。
・山地災害研究室は、主に表層崩壊、森林の崩壊防止機能、緑化、治山研究室は、崩壊,移動体の流動化、土石流、治山施設などを担当する。チーム長は地すべりや大規模崩壊を担当している。
回答2:
・会計の仕組みなど様々変わった点があるが、研究活動に関しては5年間の研究計画の中で各年度に応じた年度計画を立てて実行する.特に評価について年度毎に計画の実施状況及び成果がより強く求められる様になった。
回答3:
・研究内容の評価は、プロジェクトの評価として外部委員を招いて行う。
回答4:
・研究活動は森林総合研究所内の研究プロジェクト以外にも林野庁や農林水産技術会議、文部科学省、環境省等の研究プロジェクトを実施しており、その中で他の機関と共同で行うことも多い。また必要に応じて個別の研究機関と提携して共同研究を行うこともある。
回答5:
・実際の地すべりの現場を対象に試験地を設定し、現地観測や現地調査を中心に活動している。現在の主な試験地は新潟県、長野県、山形県にある。また研究所内では現地のデータの分析や解析・シミュレーション等を実施している。また地すべりは特に現場の状況を知らないと本質が分からない分野であると考えているので、試験地以外の場所も含めて時間の許す限り現場を見るように心がけている。
回答6:
・国際研究集会と国内研究集会などで発表しており、最近参加した国際研究集会はICFL、ISL,AGU等、国内研究集会では地すべり学会の年次大会・シンポジウムや他学会の研究発表会でもある。
・また学会誌にも投稿しており最近では地すべり学会、応用地質学会、日本雪工学会、水文水資源学会など。
回答1:
主な研究課題は次の2つである。
1)地すべり移動土塊の変形機構解明
2)地下水動態が大規模地すべり地に与える影響に関する研究
回答1:
(1)地すべり移動土塊の変形機構解明
a)研究概要:
第三紀層地すべりを対象とし,現地観測や室内実験を実施して,地すべり移動体の時系列的な変形過程を解明する。
b)担当者:
岡本研究員を主として関係者が連携して担当している。
c)内容:
・既に移動している地すべりのすべり面の上の土塊がどう変形するかを調べるために,土質的、水文的など切り口を変えて,試験地での現地計測をもとに検討・解析を行っている。
・変形機構のメカニズムの部分を明らかにしておくことが重要だと考えている。
・現地での観測を重視して,現実の良質の信頼性のあるデータを元に論ずることを基本としている。
・現在の現地観測は,多層移動量計5点、間隙水圧計、土壌水分計,地外で気象観測など。
・既に発表したクイッククレイについての研究成果との対比も考えている。
・当研究室では各試験地の観測データはオンラインで研究室に転送している。
(2)地下水動態が大規模地すべり地に与える影響に関する研究
a)研究概要:
積雪地帯における大規模地すべりの地下水の動態を明らかにするとともに,地下水が地すべり移動に与える影響を解明する。
b)担当者:
浅野研究員を主として関係者が連携して担当している。
c)内容:
・大規模地すべりでは特に地下水排除の対策が主に行われているが、その効果を高めるためには地下水の特性を理解することが重要である。しかし大規模地すべり地の地下水の実態(特に三次元的な特性)は良く把握されていないことが多いため、大規模地すべりの地下水特性を解明し、地すべりの安定性に与える影響を明らかにすることについて取り組みを行っている。
・手法は現地観測及び現地調査、更にこれらのデータをふまえたモデル解析(地下水流動解析や応力解析等)を組み合わせて実行している。詳細については学会誌や研究発表会などで順次公開している。また本研究の一部として農業工学研究所との共同研究も行った。
回答1:
空間情報技術の高度化
回答2:
研究成果の対策技術への応用
回答3:
以下のURLに記載されています。
<共同研究への誘い:森林総合研究所の上記URLからの抜粋>
森林総合研究所では、民間、大学、国、公立試験研究機関、他の独立行政法人等と連携・協力し、森林・林業・木材産業に関する研究を進めるため、積極的に共同研究に取り組みたいと考えています。
共同研究では、ひとつの研究課題について複数の機関が共同して、研究の目標、内容、分担等を定めて研究を行います。研究に要する費用は、原則として、それぞれの分担部分について担当機関が負担します。
当研究所と共同研究を行うことで、以下のようなメリットが考えられます。
○当研究所の研究のノウハウやこれまでの研究蓄積を活用できる
○当研究所の研究施設・機械等を利用できる
○当研究所と共同研究機関が協力して研究分担することにより単独ではできない研究が可能となる。
回答1:
三軸圧縮試験装置,圧密試験装置,携帯型定体積一面せん断試験装置,現地観測施設
回答2:
2~3回/年
回答3:
調査中
回答1:
個別に問い合わせてください。
回答2:
・森林総合研究所では最終的な実用面への応用を念頭に置いて基礎研究や応用研究に取り組んでいる。実用面において活用できるものについては民間企業の方にも積極的に活用していただきたいし、場合によってはそのための共同研究もあり得ると考えている。
・地すべり学の進歩のため現行技術の進化と共に、新技術への取り組みにも関心を持っている。例えば地盤内部の探査方法と可視化,特にそれらの面的な情報の取得と可視化など。民間企業の方々にも積極的な様々な新技術への取り組みに期待している。
回答3:
・見たことがある。講座(実務者のための岩石肉眼鑑定法)がおもしろい。
回答4:
・殊に地すべりの分野に関しては日本の技術力は世界的に見ても優れており、国際社会に対してもっとプレゼンスをアピールしていいのではないか。協会はそのための窓口にもなれるのでは。
当協会ホームページ委員会としてのはじめての研究室取材でしたが,協会PR用のパンフレットを持参していなかったり,協会員の名刺を忘れたりなど,不手際がいくつかありました。また,取材項目毎に主な質問担当を決めていたのですが,始まってみれば,各自がバラバラの質問をしたり,違う方向に話が進んだりと・・・。それでも取材が無事に終わりホットしています。
そんなまとまりのない取材でしたが,快く質問に答えて頂いた,森林総研の3名の研究者の方々に大変感謝しております。どうもありがとうございました。
次回はもう少し上手な取材ができるよう,事前の準備を万全にして臨みたいと思っています。
(文責:地すべり対策技術協会 ホームページ委員会 委員長 榎田)
(1)この道に進んだ理由は?
・徳島県出身で、山登りの際に昭和51年災を見たこと。
(2)専門分野は?
・いろいろ興味を持っている。
・雪と地すべりをライフワークにしたい。
(3)趣味は?
・ヤマトヌマエビを飼っている。去年は8,000匹生まれたが3匹しか成長しなかった。今年は800匹程度成長している。昨年を反省し水温、塩分濃度の管理を行っている。ヤマトヌマエビは汽水域に生息する為。
(1)この道に進んだ理由は?
・地球科学の応用を考えて。地すべりへの取り組みは現所属になってから。
(2)専門分野は?
・水と地すべりの関係
(3)趣味は?
・
(1)この道に進んだ理由は?
・子どもの頃から地震や火山に興味があった。大学で林学を学んだ。治山から地すべりに入った。
(2)専門分野は?
・現象としての地すべりの移動と変形
(3)趣味は?
・サッカーをやっている。森林総研のチームに所属している。
・中学校途中までやっていた。
写真1:独立行政法人 森林総合研究所 玄関
写真2:ロビーに「情報公開窓口」案内がある
写真3:ロビーに森林総合研究所「所報」のバックナンバーが用意され,自由に持ち帰ることができる。
写真4:各「領域」別に課題を説明したポスターが展示されている。
写真5:ロビー横に「平成16年度 森林講座のお知らせ」案内
写真6:森林総研らしく,切株のオブジェ
写真7:訪問した水土保全研究領域・山地災害研究室へ通じる廊下
写真8:研究室の前には「新潟県中越地震」のオルソ写真(国土地理員発行)が展示されている
写真9:研究室の表札(山地災害研究室とチーム長)