取材日時 | 平成17年12月26日(月) 15:00~17:00 |
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取材場所 | 〒305-8609 茨城県つくば市観音台2丁目1-6 |
電話 | 029-838-7576 |
FAX | 029-838-7609 |
ホームページ | http://www.nkk.affrc.go.jp |
出席者 | 土木地質研究室:奥山武彦室長、黒田清一郎主任研究官、有吉充研究員 斜面防災対策技術協会ホームページ委員会:榎田充哉、渡辺寛、井上宏 |
回答1:
・農地地すべりの原因解明と効果的な対策技術の開発
・農業用施設の基礎地盤の水理・構造特性の解明
・物理探査技術の開発
回答2:
地すべり以外への適用も含めて、電気探査をはじめとした物理探査への取り組みの長い歴史があります。
また、各地の農地地すべり地で、移動量観測や長期モニタリングを行うことに力を入れています。それによって観測手法の改良,解析,対策の研究にむすびつけています。
特に、農地利用が地すべり活動に与える影響、あるいは地すべり災害が農業農村に与える影響等、農業と地すべりの関係に注目して研究を行っている点が特徴といえます。
防災研究については、広域防災研究室と共同で研究を行なう機会もあります。
回答3:
土質試験機(三軸圧縮試験機,大型一面せん断試験機)、防災研究棟にGPS変位観測システム(携帯電話によるテレメタリングと集中処理サーバー)を整備しています。
回答1:
造構実験棟に実験室,所内に試験圃場があります。
現地は,農村振興局の国営農地保全事業所(上越(新潟県),長野西部(長野県),高知三波川帯,高瀬(高知県))からの委託研究等で調査観測を行っています。
その他にも各地で調査観測を行っています。
回答1:
地すべり関連では日本地すべり学会,農業土木学会などへの投稿や発表, 農業工学研究所技報などで発表しています。
物理探査関連では海外の学会(SEG,AGU)での発表もしています。
回答1:
主な研究課題は、次の3つです。
(1)地すべり地の水理地質に関する研究
(2)電磁気的探査技術に関する研究
(3)地すべり斜面の力学性に関する研究
回答1:
(1)地すべり地の水理地質に関する研究
1)今取り組んでいる研究概要
地温探査,温度検層,自然電位探査などによる水みちの解明と効果的地下水排除工への反映
・地すべり地の土地利用と地下水涵養
・中越地震時の大規模すべりに伴う農地崩壊現象の解明とその対策に関する研究
2)現時点の研究成果の中で特に特徴的なことは?
地下水浸透や水抜きの効果範囲が流動電位の変化としてとらえられた。
http://www.nkk.affrc.go.jp/library/publication/seika/seikajyoho/2004/27/27.pdf
3)今後の研究の方向性は?
中山間地の土地利用と地盤災害発生および防止との関係。
(2)電磁気的探査技術に関する研究
1)今取り組んでいる研究概要
・透過電磁波による地盤環境測定能の評価
・地中レーダによる地盤中の水分,電解質濃度推定手法
2)現時点の研究成果の中で特に特徴的なことは?
地下不飽和帯における浸透流をクロスホールレーダでとらえることができた。
http://www.nkk.affrc.go.jp/library/publication/seika/seikajyoho/2003/47/47.html
(3)地すべり斜面の力学性に関する研究
1)今取り組んでいる研究概要
・地すべり斜面の挙動の3次元的把握と解析。
2)現時点の研究成果の中で特に特徴的なことは?
地すべり地に適した,傾斜補正が可能なGPS設置方法を実証した。
http://www.nkk.affrc.go.jp/library/publication/seika/seikajyoho/2002/43/43.html
光ファイバーを用いた,地中歪み,温度の連続分布型計測(官民連携)。
http://www.nkk.affrc.go.jp/library/publication/seika/seikajyoho/2002/45/45.html
3)今後の研究の方向性は?
地すべり挙動のリアルタイムモニタリングに基づく斜面安定の評価と予測。
回答1:
農林水産省官民連携新技術研究開発事業制度により,「構造物・基礎地盤監視のための光ファイバによるハイブリッドセンシングシステムの開発に関する研究」を新技術研究開発組合(第一高周波工業(株),日鐵溶接工業(株),(株)ダイヤコンサルタント)と実施中(2002~2007)です。
これは、光ファイバーの歪み値が温度に依存するため、温度・歪み分布を両方計測し測定精度を向上させることが目的です。
回答2:
安全監視や施工後の管理のために,地中変位や構造物の変形などを空間的に連続・高密度に,リアルタイムにモニタリングする技術が求められていると考えています。
特に、農業用施設などの維持管理に必要な調査・観測に技術的な研究課題があると考えています。
回答3:
ネットワーク化によって確実かつ省力的な観測が可能になるようなシステム。
回答4:
独立行政法人農業工学研究所共同研究実施規定で契約,費用分担,特許の取り扱い等について規定しています。実施にあたっては,所内の共同研究審査委員会で検討されます。民間団体を含める場合は原則的に公募になります。
※共同研究については農工研ホームページが参考になります。
回答1:
あります。
個別地すべりの紹介などが充実している。
回答2:
地すべり観測便覧のような,実用的な図書の出版を期待しています。
1981 入職(農業工学) 農業土木試験場~東北農業試験場~農業工学研究所
専門:農地造成,土木地質計測
趣味:温泉めぐり
1997 入職(農業工学) 農林水産省〜農業工学研究所
専門:土木地質計測
趣味:居酒屋めぐり
2004 入職(農業工学) 農林水産省~農業工学研究所
専門:地盤工学
趣味:サッカー
年の暮れも押し迫った師走の26日、第3回目となる研究室取材を行ないました。大変忙しい中にもかかわらず、奥山室長をはじめ研究室の方々には温かく迎えられ、取材では懇切丁寧に回答をしていただいたことに感謝いたします。また、当日は研究棟なども案内してくださり、日頃の研究での苦労の一端を垣間見れた気がしました。研究に対する姿勢には学ぶ点も多く、貴重なご意見も聞かせていただき有意義に取材をすることができました。
(文責 H・I)
写真1:(独)農業工学研究所の建物
写真2:研究所玄関ロビーの風景
写真3:研究成果が展示された土木地質研究室前の廊下
写真4:取材後に案内していただいた防災研究棟の入り口