(Google Earth及びGoogleマップの画像より)
取材日時 | 平成22年12月21日(金)10:30~12:00 |
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取材場所 | 〒376-8515 群馬県桐生市天神町1-5-1 群馬大学工学部内 |
電話 | 0277-30-1620(代表) |
FAX | 0277-30-1620 |
ホームページ | http://www.tech.gunma-u.ac.jp |
出席者 | 地盤工学研究室:鵜飼恵三 教授(その他の研究員:若井明彦 準教授,蔡 飛 助教授 ) 斜面防災対策技術協会ホームページ委員会:榎田充哉,井上宏,沓沢武 |
回答1:
地盤工学を中心とした教育と研究を行うことです。
回答2:
学科の中核をなす分野です。元は建設工学科ですが,“デザイン”という表現に“動き”の意味を持たせています。都市災害を含めて対応する同大学内の“防災センター”とも関わりがあります。
回答3:
地盤工学を基礎とした地すべり工学の研究。地盤工学・地すべり工学分野での数値シミュレーション技術の活用。環境・エネルギー分野への研究の展開。
回答4:
研究室、実験室、フィールド(国内および海外,海外では特に中国四川大地震の関係が多い。)
回答5:
日本地すべり学会、地盤工学会など学会が中心です。専門書、講習会、講演会を通じた発表も適宜実施しています。
回答6:
多数の研究機関等との共同研究を行っています。桐生市の産学官協会の関係で地元とのつながりも深く,年1回住民参加で緑化に関するイヴェントも実施しています。
回答1:
地すべり等の災害事象をFEM等の数値解析により精度良く再現することで、その力学機構を把握し、将来の減災に繋げることを試みています。
河川堤防、道路盛土、補強土壁などの土構造物の耐震性能評価手法の開発や、実際の土構造物の耐震性能の評価など。いろいろな解析を行っていますが若井先生は動的解析を中心に,蔡先生は盛土や地すべりの解析を中心に取り組んでいます。
他大学との違いは,他大学が個別の問題に特化した研究を進めている傾向にあるのに対し,全般的な研究を行っている点です。
回答2:
多様な対象斜面に対して、適切な構成モデルを用いたFEM解析に基づき、地形・地質条件、付帯・周辺構造物、対策工の諸元、その他の外因などを考慮した現象予測を行っています。
回答3:
現象予測の精度を高めるための基礎研究を推し進めるとともに、不確実な要因を考慮した予測のあり方について検討を深めていく予定です。
回答1:
地震時の自然斜面、人工斜面(造成宅地および擁壁など)の地震時挙動を把握するための各種の解析的研究を行っています。
回答2:
実際の地震後の被害状況および地震動を模擬した振動台実験等の計測結果などを基にして、FEM等の数値解析の精度を向上させるための基礎研究を行うとともに、これを用いた有効な耐震対策についての検討を行っています。
回答3:
地震外力を考慮した自然斜面の安定性評価の考え方について各種の検討を進め、地震地すべりを抑止するための方策に資する成果を目標とした研究を進めて参ります。
回答1:
林地残材・廃材を活用した可燃性土壌の開発。例えば屋上緑化は維持管理が難しく,途中で維持管理できなくなると廃棄物となります。そのため焼却できる材料を用いて開発しました。杉皮や炭などを利用しています。
回答2:
上記土壌を開発し、汎用的な植生基盤となりうることを実証しました。開発は完了し,植物の種類を選ばない資材が完成しました。壁面などの鉛直面の緑化も可能です。
回答3:
市販化
回答1:
廃石膏ボードから得られる再生半水石膏を地盤改良材として利用します。石膏ボードの再利用の研究を行っているのは日本で群馬大学と宮崎大学のみであり,この研究成果は全国の廃棄物の再資源化に役立ちます。紙と石膏に分離し,石膏を加熱処理しますが,紙と石膏を分離する機械は中古品などが安価に購入できます。加熱処理は150゚程度でよく,簡易な装置で可能ですが,事業化用の装置を開発するためには民間企業等の参入が望まれます。
回答2:
地盤改良材として有効な力学性能を持ち、環境悪化の原因にならないことを確認しました。また,地盤工学会関東支部に委員会を設置し,群馬県などとも協力して本手法の普及を図っています。
回答3:
道路路床・路盤の改良材としての利用を目指す。
回答1:
FEM等の高度な数値解析結果を教師データとして構築したニューラルネットワークに基づいて、FEM等と同様の多様な条件を考慮した高精度な現象予測を行う手法を開発しています。FEM等の数値解析に伴って必要となる時間・コストの削減が主目的です。当システムのプログラムは研究室で作成しています。
回答2:
地盤挙動予測、防災対策、耐震設計などに適用可能な同システムの開発を行ってまいりました。FEM等の数値解析の結果をなぞらえる場合、説明変数と予測結果との相関性が比較的明瞭なので、それほど困難なく学習させられることが確認されています。
回答3:
設計基準で考慮すべき条件(パラメータ)を説明変数にとったシステムを開発することにより、現行の設計基準の適否や改善の方向性について示唆的な研究を実現できると考えます。
回答1:
地中熱に関する研究会を地元に立ち上げて,地中熱を利用したエアコンシステムの研究を行っています。地中熱を利用することでエアコンの電気代を半額にすることができます。地中熱利用に関する熱伝導シミュレーションができるところがこの研究室の強みです。
回答1:
民間,国の研究機関,環境省、群馬県などと共同研究をしています。
回答2:
特に限定したものはありませんが、各種の自然斜面、人工斜面(造成宅地および擁壁など)の地震時挙動を把握するための解析的研究を引き続き行ってまいります。
回答3:
土木建築系の趨勢である性能照査型設計あるいは信頼性設計を視野に入れた斜面対策についての技術的検討が急務と考えています。
回答4:
限られた予算を有効に活用するためには、完全に災害を抑止することだけでなく、どれだけ減災効果があるかが非常に重要です。リスク低減の観点からの技術開発を望みます。
回答5:
まずはE-mail等でご一報いただき、詳細は直接ご相談できればと思います。
回答1:
振動台、大型土槽(L2.5m,W2m,H2m)、振動三軸試験装置、各種土質実験装置。このうち大型土槽は杭などの地中埋設物の実験や掘削の影響などの実験に利用できます。
回答2:
教員へお尋ねください。民間企業からの申出で施設を利用した共同研究も可能です。教員毎に独立して共同研究を実施しています。
回答1:
限られた予算を有効に活用するためには、完全に災害を抑止することだけでなく、どれだけ減災効果があるかが非常に重要です。リスク低減の観点からの技術開発を望みます。今後は防災面のみではなく,環境やエネルギーにも力を入れてほしい。
回答2:
あります。シンプルで良いと思います。
回答2:
私たち研究者と技術の最前線で活躍されている技術者との間をうまく仲介して、新技術の開発を強く推進してくださる原動力的な機関になっていただくことを期待しています。
所属する研究者の氏名、専門分野、研究テーマ、抱負などを差し支えない範囲で教えてください。
回答1:
○専門分野:地盤環境工学、地盤防災工学。
○研究テーマ:地震地すべりの機構解明、廃石膏ボードの再資源化、地中熱エネルギーの利用。
回答2:
○専門分野:地盤工学、地すべり、地震災害など。
○研究テーマ:地盤や斜面の各種力学挙動の数値シミュレーションとそのための構成モデルの開発等。
○抱負:現場で役立つ研究を志向しています。新たな研究シーズがあれば積極的に共同研究を行いたいと思います。
回答3:
○専門分野:地盤工学、耐震工学。
○研究テーマ:地すべり3次元安定解析、マルチコアに対応する地盤解析プログラムの開発、補強土壁の耐震性能評価、土構造物の耐震照査技術 など
回答4:
毎年,学部生10名程度,修士3~4名,博士1~2名です。
早めにJR桐生駅に着いたため,駅から群馬大学まで歩きました。途中,信号機の無い横断歩道を渡ろうとすると横断歩道の手前で車が停車して私が渡るのを待っていてくれました。しばらく歩いた次の横断歩道でもまた車が停車してくれました。桐生の町の人柄がわかったような気がして,気分良く群馬大学にたどり着きました。
取材前は,群馬大学の地盤工学研究室というと数値解析の研究に特化した研究室というイメージを持っていましたが,取材してみると環境やエネルギー問題についても積極的に取り組んでいる研究室であることがわかりました。“建設工学科”から“社会環境デザイン工学科”に名称が変更となりましたが,名前が単に変更になっただけでなく研究内容も学科名にふさわしい内容に変化したのだと感じました。また,産官学共同での取り組みにも力を入れていること,市の協力で市の施設の利用に便宜が図られ,住民参加のイヴェントなどにも積極的に取り組まれていることなど,地域ぐるみの活動が活発なことにも驚きました。
突然の取材依頼でしたが快諾頂き,快く質問に答えて頂いた鵜飼教授に大変感謝しております。下手な取材でしたが,ご協力頂き,どうもありがとうございました。
(文責:斜面防災対策技術協会 ホームページ委員会 委員長 榎田)
写真1:群馬大学工学部正門
写真2:鵜飼教授の研究室と廊下に掲示されたパネル
写真3:研究室前の廊下には石膏ボードの再資源化に関するパネルが複数枚掲示されていた。
写真4:取材風景