深田地質研究所パンフレットより
深田地質研究所ホームページより
取材日時 | 平成24年2月22日(水)15:00~17:00 |
---|---|
取材場所 | 〒113-0021 東京都文京区本駒込2丁目13番地12号 |
電話 | 03-3944-8010 |
FAX | 03-3944-5404 |
ホームページ | http://www.fgi.or.jp/ |
出席者 | 深田地質研究所:滝口志郎専務理事、藤井幸泰主査研究員、藤田勝代研究員、平石成美研究員、大八木規夫客員研究員、吉岡直人客員研究員 斜面防災対策技術協会ホームページ委員会:大河原彰、井上宏、沓澤武 |
1954年に財団法人深田地質研究所が設立され、「地質工学の創造」という理念を掲げ、「地質学の普及」および「地質技術者の職域の開拓」を通じて、高度成長期の我が国の成長、発展に貢献してきました。
2011年には公益財団法人に新たに認定され、「地球工学」あるいは「地球システム工学」として、環境問題に代表されるような地球全体に係る諸問題の解決に役立つ総合地球科学への発展が期待されています。
回答2:
深田地質研究所では、4つの事業「研究」、「普及」、「育成」、「助成・顕彰」をおこなっています。特に研究事業は、複合的な地球システムの理解を増進し,社会の持続的な発展に寄与することを目標としています。また、専門家の教育・人材育成および研究助成活動により、先進的な成果を社会に広く普及させるとともに、それらの成果の社会利用を図るため、一般への普及・啓蒙活動にも力を入れています。
回答3:
研究テーマごとに、それぞれのフィールド(山地,遺跡,海洋)から、研究所内での実験まで様々です。
回答4:
研究報告書「深田地質研究所年報」の刊行、「深田研ニュース」の発行(隔月)などを行っているほか、個別の研究成果については、各学会での研究発表会や学会誌に発表しています。
また、普及および育成活動として、「深田研ジオフォーラム」、特定テーマの講演会や学習会などを随時実施しています。
回答5:
研究テーマごとに、個人ベースですが、各大学、産業技術総合研究所、海洋開発研究機構、防災科学技術研究所などの研究者と、共同で研究を行っています。
回答6:
深田地質研究所年報を毎年頒布しています。過去の掲載論文の題名と要旨を、ホームページに掲載しています。
主な研究課題について、各研究の進捗状況と今後の方向性についてご紹介ください。
回答1:
a)岩石・岩盤中の割れ目形成と風化に関する研究、b)海底地盤変動への総合理解に向けた取り組みに関する研究、c)花崗岩中に形成されるラミネーションシーティング構造岩石学的研究、d)上部マントルに至る海洋底地質断面の地質学的・岩石学的研究、などの研究課題に取り組んでいます。
回答2:
岩石・岩盤中の割れ目形成と風化に関する研究では、島根県の中新世大森層の来待砂岩(中粒凝灰質砂岩)を用いて、堆積構造(粒子の構造)と力学異方性の関係について、主に実験的な検証による研究を進めています。これまでの研究により、堆積時の古流向を反映した粒子の配列や空隙構造と、ヤング率や圧縮強度等の力学特性について、関係が認められました。
回答3:
今後は、割れ目構造や透水特性などについても着目し、研究を進めたいと思っています。これらの研究成果により、節理や断層等の形成メカニズムの解明に寄与することや、大深度地下開発や地層処分等において、安定性の評価などに役立つことが期待されます。
回答1:
a)日本列島の地すべりと地質との関係に関する研究、b)変動帯における山地の地形発達過程の解明とマスムーブメントの危険度評価、などの研究を行っています。
回答2:
日本列島の地すべりと地質との関係に関する研究では、地すべり地形分布図(防災科研)とシームレス地質図(産総研)を組み合わせた地すべりマップを活用して、地すべり分布と、地形・地質の関係、とくに地すべりの特徴と地質帯との関係を明らかにし,地すべり災害の予測の向上をめざしています。
変動帯における山地の地形発達過程の解明とマスムーブメントの危険度評価に関する研究では、紀伊山地中央部を対象に地形解析を行い、遷急線の分布の実態と深層崩壊の発生箇所およびその前兆ともいわれる重力変形地形の分布の関係を明らかにすることで、地質学的時間スケールでの山地の地形発達史と深層崩壊の発生場との関係を解明しています。2011年台風12号災害の発生した十津川流域の斜面において、具体的な研究を進めています。
回答3:
地すべりと地質の研究に関しては、従来あまり研究が進んでいない花崗岩地帯の地すべりや、火山カルデラ周辺の地すべりの発生機構や分布など、研究を深めたいと思っています。
山地の地形発達過程と危険度評価の研究では、地形発達史に基づく深層崩壊の危険度評価方法の確立や、遷急線の形成過程および形成年代の解明などを、進めていきたいと思っています。
回答1:
砂山の臨界状態の解明から地震の予測法を探る研究、およびせん断応力下にあるガウジ層の振る舞いとすべり予測に関する研究を行っています。
回答2:
砂山の崩れ方と地震の発生の仕方の類似性に着目して、地震の予測(予知)に結び付けるヒントを得るべく、実験的研究を行っています。光弾性物質による砂山内部構造を再現する実験では、砂山の表面付近に表面に平行な応力鎖が形成され、ぎりぎりまで持ちこたえたのちに、崩壊に至ることが判明しており、地震発生メカニズムとの類似性の観点から、注目される結果が得られています。
回答3:
砂山の実験から、砂山崩壊の周期性や大崩壊直前の静穏化現象(地震の空白域に相当?)など、地震発生との類似性があることが確認できました。これを糸口として、さらに地震発生メカニズムに肉薄すべく、研究の方向性を探り、地震予知に役立てたいと考えています。
回答1:
個人が主体となって研究テーマを進めています。必要であれば、個別にご相談ください。
回答1:
研究所建物内に、研修ホール、会議室、小規模な図書室などがあります。地震に関する研究の一部は、室内で実験を行っています。
また、ロビーや廊下、会議室等に、研究成果の一部や、岩石標本、クリノコンパス等を展示しています。
回答2:
研究所主催の行事以外には、基本的に利用不可としています。図書室蔵書については、現在外部利用を検討しているところです。
回答1:
①深田地質研究所一般公開(毎年10月開催):アンモナイトアクセサリーが大人気です。
②深田研談話会(3・8月を除く毎月):やや専門家向けの内容です。(講演内容は深田研ライブラリーとして小冊子にまとめ発行しています)
③その他:アウトリーチ活動として「ジオ鉄」(商標登録第5378786号)を推進しています。これまでに、JR四国・土讃線、土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線、JR四国・予土線、JR大糸線、JR北海道・富良野線などで実施し、今後も計画しています。(ジオ鉄:鉄道を利用し、誰もが気軽に楽しみながら自然や地球環境のことを学ぶことができる活動)
回答2:
①深田地質研究所一般公開:申込不要,無料。
②深田研談話会:はがき・FAX・インターネットからの申込必要、無料。(②のうち現地談話会などは参加費必要)
③アウトリーチ活動(ジオ鉄など):ホームページ等で行事予定などを広報します。
回答1:
組織体制としては、理事会、評議員会のもと、事業部、研究部が設置されています。
取材当日は、以下の方々にお話を伺いました。
滝口志郎 専務理事・主席研究員(研究所全般について)
藤井幸泰 主査研究員(地質構造に関する研究)
大八木規夫 客員研究員(自然災害に関する研究)
吉岡直人 客員研究員(地震に関する研究)
藤田勝代 研究員(アウトリーチ活動について)
平石成美 研究員(自然災害に関する研究)
回答1:
あります。
回答2:
やや情報量が多いため、どこにどんな情報があるのかわかりづらい。
回答3:
今回の取材で存在を知りました。もっと社会にアピールできる協会だと感じました。
深田研談話会でおなじみの深田地質研究所に取材に行ってきました。
都会の真ん中にある研究所ですが、大通りからやや入った閑静な住宅街の中にあり、思ったよりも静かな環境の中にあります。
建物外壁はドイツ産の赤色砂岩、玄関ホールには夕張産の巨大アンモナイト化石が出迎えてくれます。
室内にも、深田地質研究所考案(知りませんでした!)のクリノコンパス、化石標本、岩石標本などが展示されており、地質研究所の面目躍如といった感じです。
取材当日は、窓口になっていただいた滝口専務理事、藤井主査研究員のほか、斜面協会でもお世話になっている大八木客員研究員など多くの研究者の方にお話を伺えました。
「ジオ鉄」などのアウトリーチ活動にも大変熱心に取り組んでおられるのが印象的でした
取材でお世話になった皆様、ありがとうございました。
これを機会に互いのコミュニケーションをとりながら学会、業界の発展に貢献できればと思います。
今後ともよろしくお願いいたします。
(文責:A.O)
写真1:深田地質研究所の建物(外壁はドイツ・ミルテンベルグ産の三畳紀赤色砂岩)
写真2:玄関ホールに展示されている巨大アンモナイト化石(北海道夕張産、白亜紀チュローニアン期、深田淳夫氏寄贈)
写真3:室内に展示されている化石標本
写真4:室内に展示されている岩石標本
写真5:砂山崩しの模型実験
写真6:ジオ鉄ポスター(日本応用地質学会平成22年度研究発表会優秀ポスター賞(特別賞)受賞)
写真7:「ジオ鉄」(商標登録第5378786号)プロジェクトの展示
写真8:取材風景(アウトリーチ活動のポスター展示)
写真9:アンモナイトアクセサリーの作り方