取材日時 | 平成20年2月4日(金)13:30~16:00 |
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取材場所 | 〒305-0006 茨城県つくば市天王台3-1 (独)防災科学技術研究所内 |
電話 | 029-851-1611(代表) |
FAX | 029-851-1622 |
ホームページ | http://www.bosai.go.jp |
出席者 | 防災科学技術研究所: 井口隆 総括主任研究員,酒井直樹 研究員(その他の研究員:三隅良平 主任研究員) 斜面防災対策技術協会ホームページ委員会: 榎田充哉,井上宏 |
回答1:
・防災システム研究センターは現実社会での防災現場に役立つような研究成果の創出を行い,その研究成果の公開を幅広く進めることを目的としています。
・水・土砂防災研究部は風水害および土砂災害を軽減するための,基礎的な技術開発を行っています。
・研究所全体では,阪神大震災の後,地震分野の研究が中心となってきました。
回答2:
・水・土砂防災研究部では基礎的な研究開発を行い,防災システム研究センターでは成果を広く一般に提供するための情報システムの構築や運用を行っています。
回答3:
<大型降雨実験装置を用いた研究>
大型の模型斜面を用いて,崩壊時刻の予測や,崩壊土砂の流動化過程の実験を行っています。
<マルチパラメータレーダ(先端型気象レーダ)の活用>
高分解能(500mメッシュ),高精度で降雨分布を推定できるマルチパラメータレーダを活用して,豪雨時の崩壊危険域推定に関する研究を行っています。
<地すべり地形分布図の刊行>
地すべり研究全般に関する基礎データの作成を目標に始めた研究です。1997年の澄川地すべりなどを契機に地すべり発生場所の予測にも役立つ図として研究者以外からも注目されるようになり,Web公開を先行的に開始しウェブマッピングの分野からも注目されています。
回答4:
・大型降雨実験はつくば本所で実施しています。
・マルチパラメータレーダは1号機が神奈川県海老名市,2号機が千葉県木更津市に設置されています。
・地すべり地形判読は所内で進めています。現在の確認調査は時々に,それぞれの地域を対象に行っています。
回答5:
・各種学会での発表(日本地すべり学会,地盤工学会,気象学会等)
・研究所の成果報告会(2008年は3月に静岡市で行われる。)
・講演・防災教育(東京消防庁,APEC研修ほか)
・地すべり地形分布図は印刷図を関係自治体・関連大学研究所に650部程度配布するとともに,できるだけ早期にWeb公開を行っています。Web公開ではWMSを取り入れ,他サイトとの連携についても便宜をはかっています。
回答1:
日本全国の地すべり地形の分布状況の把握を目的に,地すべり地形判読を進めています。
回答2:
・本州・四国・九州の地すべり地形判読完了。
・本州・四国の大部分の地すべり地形分布図を刊行。
・Web-GISによる地すべりマップのインターネット公開を推進している。
回答3:
・引き続き全国刊行を目指して北海道の判読を進めるとともに,未刊行・Web未公開の地域の早期刊行・公開を目指す。
・地すべり地形分布図の有用性,利用方法に関する広報普及活動の推進。
・既往斜面災害のデータベースの充実化
・また,地震による土砂災害の発生場の予測手法の開発などにも取り組んで行きたい。
回答1:
マルチパラメータレーダは雨粒の変形の程度によって雨量を計測できるシステムで,気象庁などのシステムより高精度である。このマルチパラメータレーダによる予測雨量を活用し,1時間先の表層崩壊の危険域を50m格子で予測できる技術,変動し始めた斜面の崩壊時刻の早期予測技術,並びに実地形を考慮に入れた崩壊土砂の運動モデルによる被災範囲の予測技術を構築し,これらの技術を第1期中期目標期間において開発した土砂災害発生予測支援システムに取り組むことにより高度化する。
回答2:
・マルチパラメータレーダのデータをリアルタイムで処理し,実効雨量(半減期を考慮した雨量)を約5分更新で公表している。
土砂災害発生予測支援システム(LAPSUS)
http://lasus.bosai.go.jp
・崩壊発生時の斜面の内部歪を早期に検知するセンサーの開発
回答3:
・マルチパラメータレーダの,土砂災害危険域監視における有効性の確認と実用化。
・現地斜面に適用可能な,安価なセンサーの開発。
・複合災害(地震と地すべり,融雪と地すべり)に関する実験研究。
回答1:
・降水短時間予測に関する研究
・大型降雨実験施設を活用した研究など
回答2:
研究担当者に直接連絡をとって下さい。最終的には「共同研究契約書」を締結することになります。
回答1:
・大型降雨実験施設
回答2:
年間10件程度
回答3:
下記のページをご覧下さい。
回答1:
公表されている研究所の年度評価資料をご覧下さい。以下からダウンロードできます。
http://www.bosai.go.jp/kokai/johokokai/johoteikyo/nendohyouka.html
回答2:
新しい技術の共同開発,共同研究
回答3:
見たことがある。大変よくできている。
最初,敷地内にある研究交流棟に案内されて,研究所全体の施設や研究内容の紹介を受けました。ガラスが多く採用された開放的な建物で,研究内容等をわかりやすく説明したパネルや模型,K-netのリアルタイムの加速度モニターなどが並び,外部からの訪問者に対する配慮が感じられる施設でした。
大型降雨実験施設も,人口降雨装置を付けた巨大な建物がレールの上を数百mも移動するシステムに驚きました。
このような良い施設をもっと多くの人に知って頂き,活用されるようになれば良いと思います。
突然の取材依頼でしたが快諾頂き,快く質問に答えて頂いた井口総括主任研究員及び酒井研究員に大変感謝しております。どうもありがとうございました。
(文責:斜面防災対策技術協会 ホームページ委員会 委員長 榎田)
(1)この道に進んだ理由は?
学んできた専門分野をいかした研究ができ,社会にも役立つ成果につながると考えたから。
(2)専門分野は?
応用地質学
(3)出身校,学部:
北海道大学地質学鉱物学科
(4)趣味は?
ウォーキング
(1)この道に進んだ理由は?
自然現象に関心があったから
(2)専門分野は?
気象学(雲物理)、自然災害
(3)出身校,学部:
名古屋大学大学院理学研究科
(4)趣味は?
月面の観察
(1)この道に進んだ理由は?
小さいころから地震・火山に興味があったから。
(2)専門分野は?
地盤工学
(3)出身校,学部:
長岡技術科学大学大学院工学研究科
(4)趣味は?
林道ドライブ,夜更かし
写真1:研究交流棟の正面玄関
写真2:研究交流棟の明るいエントランスホール
写真3:研究交流棟のエントランスホールの床には巨大な地すべり地形分布図がある。
写真4:研究交流棟に展示された実大三次元振動破壊実験施設の模型
写真5:研究交流棟ではK-netのリアルタイム加速度情報が常に表示されている。
写真6:研究交流棟に掲示された大型降雨実験施設のパネル紹介
写真7:研究本館入り口
写真8:大型降雨実験施設の人口降雨装置(建物)外観
写真9:奥に見える人口降雨装置の建物がこのレールで移動する
写真10:崩壊実験装置の外観
写真11:人口降雨装置(建物)の内部。サッカーができる程度の広さがある。
写真12:建物の両サイドにある巨大な扉。建物移動時にはこの扉が開けられる。
写真13:人口降雨装置の天井のノズル。天井に544個のノズルがついており,口径の異なるノズルを組み合わせることにより,15~200mm/hrの降雨を再現することが可能。