野辺沢山地区地すべり
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野辺沢山地区地すべり位置図
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野辺沢山地区全景
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「斜面防災技術」掲載号:Vol.47,No.3(2020年12月、通巻140号)
地すべりの概要
1.地すべりの概要
野辺沢山地区地すべりは、会津地方の喜多方市に位置しており、喜多方市役所より北へ15km、一級河川阿賀川水系濁沢の支流野辺沢川の上流、熊沢の右岸斜面に位置する大規模地すべり地である。
2.地形・地質概要
- 地形
- 当地区周辺の熊沢沿いには多くの地すべり地形が認められ、対象斜面は斜面長:約900m、幅:約400mの大規模な地すべり地形内に位置している。
対象斜面の上部には滑落崖と見られる明瞭な遷急線、その直下には平坦面を伴う地すべり地形が認められる。調査地はこの地すべり地形の左側末端部に位置する。
なお、稜線付近では、線状凹地、山向き小崖が形成されており、岩盤クリープ斜面も稜線の両側で多数確認できる。さらに、岩盤クリープ斜面上や側部では大規模な崩壊跡地が分布している。
- 地質
- 調査地は主として新第三紀中新世前期の黒岩層が分布している。
黒岩層は砂岩・泥岩・礫岩・凝灰岩などからなり、流紋岩、石英安山岩、安山岩、玄武岩などの貫入岩類も発達している。その多くはほぼ南-北向きおよび北北西- 南南東の伸長方向をとる。
当地区に最も多く存在するのは流紋岩で、これらは石英・斜長石の斑晶を多く含む。
3.地すべり状況
平成22年融雪期に地すべりが発生し、平成23年の東日本大震災により大量の流出土砂が平成19年度に完成した治山ダム工(当地区より500m下流部)まで到達した。
熊沢へ流出した土砂量は数万m3と推定され、土砂の多くは調査地~治山ダム間で堆積したが、泥流化した土砂が下流域まで流下した。
4.地すべり機構
- 素因
- ① 破砕、風化著しく脆弱な地質
② 大規模地すべり活動による地質の脆弱化
③ 地すべり地形により形成された集水地形
- 誘因
- ① 卓越した地下水(融雪・豪雨による)
② 湧水による侵食
③ 崩壊地の拡大
5.対策工
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- ボーリング暗渠工
- 集水井工
- グラウンドアンカー工
- 法枠工
地すべりの特徴
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対策工平面図
地すべり断面図
比抵抗断面図(主測線)
写真3.11 浅層すべり面:BV15'''GL-17.69m (8方位合成写真)
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表3.1 すべり面せん断試験結果一覧表
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すべり面およびせん断試験結果 |
写真3.12 NO.7集水井工すべり面
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集水井工配置図(中層の比抵抗値)