豊浜地すべり
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位置図 |
豊浜地区地すべりブロック |
「斜面防災技術」掲載号:Vol.51, No.2 (2024年8月,通巻151号)
地すべりの概要
1.位置
豊浜区域は,1962年に指定(建設省 告示 第2689号)を受けた地すべり防止区域(約5.2ha)である。地すべりブロックの範囲は,幅約350m・長さ約100mで,地すべりは,A・Bの2つのブロックに分かれている。
Aブロックは,1959年に崩壊性の地すべり挙動が表層部で確認された事により,1962年から1968年にかけて,山脚部に抑制工としてコンクリート擁壁・暗渠工の施工が行われている。
Bブロックは,2016年に地すべりブロック頭部の農道に段差を伴う舗装の亀裂が確認されたことにより,新たに設定をしたブロックで,ブロックの大きさは幅110m,長さ約85mである。保全対象に旅館1軒を含む人家2戸,及び地域の大動脈であり第2次緊急輸送道路でもある国道247号などが含まれている。
2.地形・地質概要
- 地形
- 豊浜地区が位置する知多半島は,断層に沿って地面が盛り上がって形成された半島であり,平地が少ない。海岸部は海食崖が多く形成されているものの,人工地形は多い。海岸一帯は埋立地であり,斜面上部の多くが切取による平坦地で耕作地として利用されている。
- 地質
- 調査地点は豊浜累層下部の分布範囲に含まれる。豊浜累層下部は砂岩と泥岩の互層により構成され,砂岩部分は大部分が灰色で堅硬であり,地層中には各種の堆積構造が発達し,荷重痕やコンボルート葉理等が観察できる。
3.地すべり状況
本稿で紹介する地すべりブロックは幅110m,長さ85m,最大すべり層厚37mの規模である。地すべりブロックの上端は農道上であり,末端部は擁壁下端となる。
地すべりに伴う変状が頭部と末端部で顕著に認められた。
4.地すべり機構
- 素因
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- 非常に亀裂の卓越した第三紀の泥質岩を主体とし,互層状に凝灰質泥岩がみられる地域である。
- 開口亀裂や微細亀裂に沿って降水が地下深部へ急速に浸透する地山であり,岩盤クリープ的な破壊が徐々に進行し,すべり面を形成しつつあったと,想定される。
- 誘因
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- 道路面に亀裂が生じたときは冬季であり,当該地では顕著な降雨は認められていなかった。このため,断続的に生じていた岩盤クリープ的な破壊が進行したためであると想定した。
- 地すべり斜面の末端部は,擁壁が施工されている。擁壁を施工する際の切土量は,少量ではあるが,地すべりを不安定化させた要因の1つだと考えられた。
地すべりの特徴
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対策工平面図
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LPデータによる差分解析結果
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地質想定断面図
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