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<技術概要の説明>

1. MTパイプとは
 MTパイプは,水抜きボーリング工(横ボーリング工及び集水内からの集水ボーリング工)の地下水排除効果を向上させ,速やかな地下水排除による斜面安定性の向上(リスク低減)を目的として開発した保孔管である。従来の単管式保孔管は,孔壁に湧出した地下水が保孔管に乗りにくく,孔口周辺の小崩壊を助長していた。MTパイプは,これらの弱点を克服した二重式保孔管(排水管)である。
(特許番号 第1964083号,第2736295号,第2777346号NETEIS登録NoSK−990017-A)

MTパイプの集水状況
 


2. MTパイプの排水原理
(1)地下水を強力に補足:孔壁に湧水する地下水は2m毎に設けられたパッカーで堰き止め, 外管のスリットから強制的に取り込む。また,取り込んだ地下水は異形のソケットを介し無孔の内管を流下し,逃がさず地表に排水する。
(2)目詰まりが起こりにくい:外管のストレーナーの形状は5mmの円孔からスリット状(3×70mm)に変更しており,開口率は5.1倍となった。目詰まりしにくく, 目詰まりしても孔内洗浄が可能である。
(3)施工は簡単:MTパイプは外管・内管・ソケットを1ユニットとして製品化しているので現場における施工は従来の保孔管と同じである。
 
MTパイプの排水原理

 

3. MTパイプの特徴
 MTパイプは,従来の保孔管の欠陥を改良したものである。MTパイプの主な特徴は次の3点である。
(1)継ぎ手にパッカーを設けることにより,継ぎ手間に湧出した地下水を,全て排水管に取り込むようにした。
(2)保孔管をストレーナー形状の外管,無孔の内管の二重式にすることによって,捕捉した地下水を途中で漏らすことなく地表に排水できるようにした。
(3)ストレーナーの形状を円孔千鳥配置からスリット状千鳥配置に変更することにより,開口率が向上した。
 
MTパイプの規格

 

4. 室内実験
 室内実験では,幅0.5m,長さ4m,深さ1mの鋼板製の2つ土槽を一体化した装置を用いた。土槽中には砂を敷き詰め, ボーリング孔壁をネトロンパイプとし,砂が流出しないように透水シートを巻いた。ネトロンパイプは仰角5°を確保し,孔口側の鋼板には排水用の穴を多数設けた。実験は孔奥側から10リットル/minの水を流した。以下実験結果を要約する。
(1)排水機能は,MTパイプ(二重管式)が従来管(単管式)に比べて排水量で約8倍の性能があった。
(2)地下水は,MTパイプが従来管に比較して,地下水位の上昇を抑える効果があった。
(3)MTパイプは,継ぎ手が多いほど排水効果が高い。

MTパイプの室内実験


5. MTパイプの施工方法
 施工方法は,従来の保孔管(単管式)と同じである。ボーリングで所定の深度まで掘削し,保孔管を挿入する。従来の保孔管の長さは,横ボーリング工の場合には4m,集水井の中では2mである。MTパイプは外管・内管・異型ソケットを1ユニット(2m)として工場組立てしているため,現場での組立ては必要なく,従来の保孔管と同じ作業手順となる。
 また,ネジ込み式ソケットを採用しているため,施工性は非常によい。
 
MTパイプの施工状況

 



 
(審査担当:技術委員会地すべり部会,審査完了日:2008年6月11日)