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<技術概要の説明>

1.工法概要
 グラウンドアンカー用の反力体は、従来、現場打ち法枠やコンクリート部材が多く用いられており、環境面・景観面への配慮から枠内緑化や周辺緑化が実施されてきた。しかしながら緑化を施しても、コンクリート部材はむき出しのまま露出していることや、緑化の連続性が絶たれる事・養生期間が必要で工期が長くなる事、また、コンクリート製の独立受圧板では重量が大きく施工能率が悪いといった課題があった。
 このような従来の反力体が抱えていた諸問題の解決を可能にしたのがKIT受圧板工法である。KIT受圧板は、断面性能の高い角形鋼管を主部材として使用しているため、非常に軽量である。また、受圧板高さが低いため、全面緑化に近い開放型の緑化が可能な「環境・景観保全型受圧板」である。  

図-1 KIT受圧板の形状
 
2. KIT受圧板の特徴
@ グラウンドアンカー受圧板/設計・試験マニュアル」((財)土木研究センター)の判定基準に基づき合格と判定された唯一の受圧板である(2007.9月現在)。
A受圧板高さが100〜150mmと非常に低く、受圧板本体が草木に覆われるため法面全体の緑化が可能である。
B断面性能の高い角形鋼管を使用することにより軽量化を実現。
C管理の行き届いた工場製品であるため品質が良く、しかも軽量であるため現場での省力化が図れる。また、養生期間がいらないため工期の短縮が図れる。
D現場の状況に応じて、受圧板を任意の寸法にすることが可能。
 

図-2 KIT受圧板使用時イメージ図



写真-1 緑化実績
 
3. 防食
 KIT受圧板には、グラウンドアンカー受圧板 設計・試験マニュアル((財)土木研究センター)に則った「防食工+腐食しろ」の二重防食が施されている。具体的には、表面の防食工として耐久性の非常に高い「亜鉛アルミ擬合金溶射」を施すと共に、1mmの腐食代を設けて二重防食としている。この防食により、塩水噴霧試験3000時間においても、異常がないことを確認している。
 
表-1 亜鉛アルミ擬合金溶射の仕様
 

4.グラウンドアンカー受圧板/設計・試験マニュアル((財)土木研究センター)への適応
 KIT受圧板は、上記マニュアルの設計手法に則り設計計算を行っており、(財)土木研究センター立会いのもと、性能試験を実施し、判定基準に基づき合格と判定された受圧板である。
 

図-3 載荷試験状況
 
5.適用条件
 5−1.自然条件
 ・法面に不陸がある場合には適切な背面処理を行なう。
 ・酸性土壌や塩害等が考えられる特殊な使用環境下では、土質、水質等の使用環境を調査・検討し、適切な防食を行なう。
 5−2.現場条件
 ・クレーンを用いて据付けを行なうときは、作業半径等を考慮して適切なクレーンを選定する必要がある。

6.適用範囲
 6−1.適用可能な範囲
 ・標準形では、設計荷重Td=1000kN以下、受圧板大きさ1.9m,2.4m,2.9m、受圧面積a=1.41m2〜5.53m2となるが、 現場条件に合わせた受圧面積や荷重に対応する異形品も製作可能である。
 ・全てのアンカー工法との組み合わせが可能である。
 6−2.特に効果の高い適用範囲
 特に法面勾配1:1.0より緩勾配の法面に植生工とともに適用される場合は、実績から判断して、全面緑化に近い緑化が可能となる。
 6−3.適用できない範囲
 グラウンドアンカー工が適用できるところは全て適用可能である

7.留意事項
 7−1.設計時
 ・切土整形後に設置地盤に大きな不陸が想定される場合には不陸調整を検討する。
 ・アンカー設計荷重、設置地盤の地耐力に見合う受圧板のタイプを選定する。
 7−2.施工時
 ・設置地盤に大きな不陸がある場合には、不陸調整を行なってから受圧板を設置する。
 ・施工時に防食機能に損傷がないように注意する。
 7−3.維持管理等
  ・本技術の防食方法である亜鉛・アルミ溶射は耐久性に優れるため、メンテナンスフリーである。
 7−4.その他
  ・アンカー軸と受圧板が直交しない場合は角度調整台座等を用いてアンカー角度を調整する。

8.実績
 2008年4月現在、国土交通省、農林水産省、地方自治体、民間に対して、2003年12月以降、20,869基、直近の2007年度は6,791基/年の実績を有している。

※ NETIS登録2S-040016
※ 財団法人土木研究センター 「グラウンドアンカー受圧板/設計・試験マニュアル」適合受圧板

 
(審査担当:技術委員会地すべり部会,審査完了日:2008年6月4日)