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<技術概要の説明> 

1. 工法概要
 本工法は,成長の遅い在来種による植生回復や無播種による郷土種の侵入が期待でき,生物の多様性に配慮しながら荒廃地における自然回復を可能とした緑化技術です。
 従来の植生工に期待される早期生育植物による表面侵食防止効果を土壌侵食防止マットで代用しながら,森林土壌に近い上質な植生基盤を導入することで,目標とする植物群落への植生回復を安定して図ることができます。
 導入直後より耐侵食効果が期待でき植生基盤を中・長期的に安定維持することができるため,外来生物による早期緑化を必要としません。  
 

2. 工法の特徴
 本工法は,バーク堆肥や支障木を破砕・チップ化した 有機質基材に泥炭腐植土を混ぜ合わせ,森林土壌に近い植生基盤を吹付造成します。
 吹付時には,ラス金網を使用せずに植生基盤の流出 や流亡を防ぐために,補強短繊維を植生基盤に混合して 吹き付けます。
 さらに侵食防止効果の高い土壌侵食防止マットを植生 基盤の上に敷設する合併工法です。  
 
(1) 保肥・保水性に優れた植生基盤の採用 植生基盤に泥炭腐植土を使用する効果として,森林土壌に近い保水性・保肥性・緩衝能力の高い土壌を造 成することが可能です。そのため,斜面乾燥や肥料枯れを長期的に防止することが期待できます 
 (2) 補強短繊維による施工性の向上 補強短繊維を使用する効果として,分散性に優れ吹付時に基盤を面的・立体的に結合し,基盤の流出・流亡 を防止します。さらに,施工時のリバウンド量を大幅に減少させることが可能です。 
 (3) 土壌侵食防止マットによる基盤の保護 土壌侵食防止マットを敷設する効果として,植物に依存することなく降雨や積雪・融雪による基盤や斜面の侵 食を防止します。さらに,マルチング効果により保水性の向上や保温効果が期待できるため,乾燥や凍上か ら植物を保護します。 

3.適用範囲
 (1) 中・長期的に安定したのり面に適用可能です。崩壊の恐れがある場合は,別途崩壊対策が必要です。 
 (2) 適用可能なのり面勾配は1:0.3迄で,植生基礎工は必要としません。 
 (3) 施工条件は植生基材吹付工と同様の機器構成で,プラントヤード10m×3m程度を必要とします。 

4.施工方法  
 

5.施工タイプと単価
  (1) TG20C(吹付厚2p)人力ハンマー打設:\5,294/m2
  (2) TG30C(吹付厚3p)人力ハンマー打設:\6,227/m2
  (3) TG20C(吹付厚2p)ドリル削孔打設:\5,914/m2
  (4) TG30C(吹付厚3p)ドリル削孔打設:\6,847/m2
  (5) TG50C(吹付厚5p)ドリル削孔打設:\8,713/m2
 価格は平成20年4月現在における直接工事費で労務・賃料等は埼玉県の単価を使用しています。
 種子配合については適応地域等の特性に応じて検討する必要があり,別途計上としています。
 施工タイプはのり面の土質や保肥力など,理化学性に応じて吹付厚さを決定しています。

6. 施工実績
 平成20年4月現在における施工実績は,122件/154,000m2となっています。
 内訳は,国土交通省:8件,その他公共機関:113件,民間:1件となっています。

7. 施工事例 

 

8. その他の適用事例
 火山地帯のようなごく強酸性土壌においても,オプションで竹炭を併用することで緑化に対応することが可能とな っています。
 強アルカリ資材である竹炭で緩衝層を吹付造成し,その上から化学的緩衝能力の高い泥炭腐植土混合基盤を吹付造成します。このように,2重の緩衝層を構築することによって,ごく強酸性土壌での緑化に成功しています。 
 

* NETIS登録No.:KT-040082-A
* 特許登録番号 :第4087777号
(審査担当:技術委員会 がけ崩れ部会,審査完了日:2008年7月28日)