国土交通省所管    大谷西(おおたににし)地すべり 山口県 

位置図



対策工平面図

「斜面防災技術」掲載号:Vol.34,No.1(2007年7月,通巻100号)
地すべりの概要
1.地すべりの概要

 大谷西地すべり地区は県の南東部、柳井市北東部に位置し,地形勾配が比較的緩やかな丘陵地地形を呈している。縞状片麻岩や片麻状花崗岩の分布地域で,周辺には,「割り石地区」,「土居地区」,「東割り石地区」,「馬皿地区」など数多くの地すべり防止区域が分布する,片麻岩地すべり地帯となっている。
 本地区は,平成5年8月の集中豪雨により地すべり災害が発生したため,災害関連緊急地すべり対策工事が実施され,その後,平成8年に地すべり防止区域の指定を受けた。規模は,幅70m,長さ120m,最大移動層厚15mの風化岩すべりである。また,頭部が馬蹄形をなし,中間部〜末端部に舌状のせり出しがみられることから,過去に何度か地すべりを繰り返したものと考えられる。

2.地形・地質概要
 当地区は,標高487mの山ヶ岳から北東に延びる稜線の北側斜面に位置し,緩い地形勾配の谷地形となっている。判読できるリニアメントは北東−南西方向とそれに直交する北北西−南南東方向の2系統が発達する。
 地質は,領家変成岩類に属する縞状片麻岩及び片麻状花崗閃緑岩が分布する。縞状片麻岩のうち泥質岩を起源とする泥質縞状片麻岩は,全体的に風化変質が著しく,粘土状に劣化している。また,片麻状花崗閃緑岩は,深層風化を受け粘性土状〜砂状に劣化している。ボーリング結果から最大20mの強風化帯(粘性土状〜礫まじり土状)が斜面に残存していることが確認されている。

3.素因・誘因
(1) 素因:厚い強風化帯が残存すること。強風化帯が地下水の流動層となっていること。 背後の山地から地すべり頭部へ地下水が流入しやすい地形・地質構造となっていること。
(2) 誘因:豪雨(144mm/日)による間隙水圧の急上昇。

4.対策工
 地下水排除工(集水井工,横ボーリング工,水路工)
地すべりの特徴
 地すべり断面図
 山口県の地質図