地すべりの概要
1.地すべりの概要
沼田地すべり地区は県の北東部の中国山地内にあり、広島県,島根県の県境付近,錦川支流の宇佐川中流域の左岸に位置する。標高300m〜500mの山地性緩斜面で,主として田畑に利用されその中に集落が点在する。地すべりは,土石流堆積物で構成された段丘堆積物内で発生し,道路や家屋,田畑に常習的な被害をもたらしてきた。昭和50年に地すべり防止区域の指定を受け,対策工事が実施され平成16年度に概成している。指定面積は104haで,A,B,Cの3ブロックに分けられている。各ブロックの規模はそれぞれ,Aブロック:東西800m,南北500m,Bブロック:東西600m,南北250m,Cブロック:東西350m,南北250mである。このうちAブロックでは,昭和14年度に大崩壊が発生し,その後降雨により崩壊が継続して発生している。平成13〜16年度に対策工の機能確認を目的とした再調査が実施され,地下水位は計画水位近くまで低下し,地すべり変動も潜在変動以下になるなど,安定化していることが確認された。
2.地形・地質概要
当地区は,宇佐川沿いの比高約150〜250mの西向き斜面の上部に広がる台地状の緩傾斜地である。標高1,109mの羅漢山から南西方向に連なる山稜を背後に控えており,それらの山地からの表流水や地下水の供給を受ける。
地質は,古生代の三郡変成岩類に属する泥質片岩を基盤とし,その上位に上方山地から供給された土石流起源の転石を多量に含む新生代第四紀の段丘堆積物が分布する。
また,Cブロックの北側及び南側には東西走向の断層が存在し地すべりを規制している。
3.素因・誘因
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素因:山地性緩斜面に堆積した不安定な土石流起源の段丘堆積物。 |
(2)
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誘因:上方山地より供給される雨水や地下水に起因する細粒分の流失による土塊の強度低下や間隙水圧の上昇。 |
4.対策工
Aブロック:集水井3基,横ボーリング工22本,幹線水路工370m(H16概成)
Bブロック:集水井2基,横ボーリング工94本,幹線水路工1,225m(H6概成)
Cブロック:集水井2基,横ボーリング工39本,幹線水路工580m(H14概成)
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