農林水産省 所管     森遠地すべり 徳島県
                
                           
    
             

   
    
   
    


   位置図
 

       

森達地区の地すべり地質平面図                
                           引用文献:藤田崇(1982):森遠,アーバンクボタNo.20潟Nボタ

地すべりの概要

1.地すべりの概要
 この地すべり地は、徳島県麻植郡木屋平村森遠(徳島市の南西約40km)にあって、標高370750m、平均勾配は24゜、長さ(南北)1,200m、幅約700m、面積80.6haを占め、四国地方の結晶片岩地域では最大規模を示す地すべりの一つである、周辺地域からみると緩傾斜地なので畑地や水田に利用され、50数軒の民家がある。
 現存する最古の記録は、慶応元年のものである。この時、地すべり地東部の3軒の民家が土砂で埋没している。その後、明治、大正から昭和まで被災記録が残されている。
 本地すべり地全域は広大だが、地すべり活動部は、一辺が50100m程度のブロックの滑動が主体であり、小規模な滑動は毎年のようにどこかでおこっている。豪雨による木屋平川の氾濫のさいは、末端部に崩壊あるいはそれに伴う沈下現象がおこっている、県道での最大の移動量は2年間で10cmを記録した(昭和32)

2.地形・地質概要
 本域の主部は三波川結晶片岩帯に属し、南北二帯に分れるみかぶ緑色岩地域に地すべり頭部と末端部が位置している。
走向はほぼ東西で、傾斜は南部で70゜〜80゜、北部で200±でいずれも北へ傾斜する。みかぶ緑色岩類は、塩基性火山噴出物起源の緑色岩であり、三波川結晶片岩とは南帯のものはみかぶ構造線で接し、北帯のものは三波川結晶片岩の上位を見かけ上ゆるくおおっている。
 みかぶ構造線は幅数mの破砕帯を形成し、本地すべり末端の東部を通過し、ほぼ東西に走る。また本域には3本の断層帯が存在するとされている。下部のものが最も顕著で幅数mの破砕帯を有し、ほぼみかぶ構造線に平行に延びる。中・上部の2>つの断層は東西方向の小規模のものであるが、一部で幅10mをこす破砕帯を有する、
 地すべり活動をなす岩屑層は、基盤の泥質片岩の礫を雑多に含む礫まじり粘土である。その厚さは基盤の形状、破砕帯などに規制されて変化に富む。

3.素因・誘因
(1)素因:断層による基盤岩の破砕と大量の岩屑の生産
      断層帯に沿う多量の地下水の供給
(2)誘因:降雨
       河川氾濫に伴う末端浸食

4.対策工
 集水井工

地すべりの特徴
 1) 推定地質断面図
 2) 徳島県東部三波川結晶片岩層の層序
 3) 地すべり地形発達模式図