1.地すべり地の概要
閑定地区は徳島市の西南西約75kmに位置し,農林水産省構造改善局により「閑定地区地すべり区域」に指定されている。
本地区では,平成5年7月下旬から8月上旬の集中豪雨および台風で,地すべり指定地末端部の村道が幅約100mにわたって被災した。被災直後には最大7.3cm/月の変位量が観測されたが,平成6年夏頃には数mm/月まで沈静化した。
地すべりブロックは,V字谷の左岸側斜面最下部に位置する。その中心部には,幅約40m,長さ約60m,厚さ最大28mに達する移動岩塊が存在し,その背面を大小さまざまな岩塊がルーズに埋めている。また,この移動岩塊を囲むような馬蹄形の緩斜面が認められ,引っ張り亀裂が数多く観察された。一方, ブロック末端部には,移動岩塊の押し出しによる斜面崩壊が発生し,村道および家屋に被害を与えた。その末端部は旧河床砂礫に乗り上げている。
2.地形・地質概要
閑定地区は一級河川吉野川水系祖谷川の中流域に位置し,周辺は標高1,000級の四国山地の山々に取り囲まれている。祖谷川は徳島県の最高峰剣山(標高1,955m)に源を発し,北西方向に流下して四国山地を下刻し,吉野川に合流している。
本地区周辺部では,祖谷川の両岸は約40°〜50°の急斜面をなし,河床から約150mの比高を有するV字谷を形成している。これより上方は傾斜10°〜20°の緩斜面となっており,閑定地区の集落がある。
閑定地区は三波川帯の中央やや頭側に位置し,基盤岩として三縄層(無点紋帯)の砂質片岩泥質片岩互層が分布する。片理面の走向傾斜はN30°〜60°W25°〜50°Nであり,見かけ上,祖谷川方向に緩く傾斜している。
3.素因・誘因
(1) 素因
・集水地形
・ブロック上部?透水性高い地質、下部?難透水性の地質 降雨時に地下水位が上昇しやすい
(2) 誘因
・平成5年7月下旬から8月上旬の集中豪雨および台風
4.対策工事の概要
地下水排除工(集水井工、横ボーリング工)、アンカー工
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