林野庁所管 代古根(よこね)地すべり 静岡県

「地すべり技術」掲載号:Vol.41,No.3(2014年、通巻122号)

掲載号:Vol.43 No.3(2016年、通巻128号)

1.地すべりの概要

本地区は浜松市天竜区春野町にあり春野町中心部より南南東方向へ6kmほどのところに位置し周辺は地すべり防止区域が密集している地すべり多発地域である。
代古根地区では過去の顕著な地すべり被災記録は存在しないものの現状では地すべり滑動に伴う地表面の変状が多数確認されさらに現地調査や地元住民への聞き取り等の結果幅約100m斜面長約200m深さ約33mの規模で地すべり現象が確認されたため平成25年から地すべり防止事業に着手した。

2.地形・地質の概要

本地区周辺は赤石山脈南縁部にあたる山地部に位置し山地は多くの谷で深く刻まれ斜面の多くは急勾配である一方山頂部の起伏はそれほど大きくはなく長い山稜を形成する。
地質は四万十層群に相当する白亜系犬居層群と古第三系三倉層群との境界付近に位置するが露頭及びボーリングコアにより後者の三倉層群相当の泥質岩が分布し剥離性に富んだ黒色の頁岩が確認されている。
犬居層群は主に砂岩と泥岩の乱雑な堆積物と泥岩の互層からなる。泥岩を基質として径数m以下の砂岩の岩塊を大量に含む地層である。黒色泥岩層が互層をなしている。
三倉層群は緑~黒色の塊状泥岩と砂岩と泥岩の互層に由来する海底地すべりによる堆積物が数100mの厚さで交互に繰り返す層と泥岩と共によく成層した砂岩と泥岩の互層をなす層がある。

3.素因・誘因

(1)素因

  • ・弱線を形成しやすい頁岩の分布
  • ・地すべり頭部付近の破砕帯
  • ・豊富な地下水の賦存

(2)誘因

  • ・豪雨に伴う地下水位の上昇による間隙水圧の増大
  • ・基盤岩への地下水浸透による風化の促進

4.対策工事の概要

横ボーリング工集水井工グラウンドアンカー工

地すべりの特徴