農村振興局所管 戸倉地すべり |
静岡県 |
静岡県の地質と地すべり防止区域 戸倉地すべりの位置 国土地理院1/2.5万地形図「秋葉山」を引用加筆
戸倉地区 災害関連緊急地すべり対策事業 対象ブロック全景
掲載号:vol.36 No.3(2010年、通巻108号) |
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浜松市天竜区龍山町(旧磐田郡龍山村)にあり、浜松市街地から北に約30kmの一級河川天竜川左岸に位置する。地区周辺は地すべり多発地帯で、過去より小規模な地すべりが発生。平成3年度に地すべり防止区域指定、次年度より地すべり対策事業を着手。平成8年度に地すべり活動が顕著になったことから、災害関連緊急地すべり対策事業を実施し、その後も事業を継続、平成13年に概成した。 区域面積は12.8ha、そのうち農地が6.5haを占めており、その他の保全対象として、人家19戸、県道、市道など。 平成8年連続降雨により、人家や道路に地すべりによる開口亀裂が発生した。規模は幅100m、長さ160m、層厚15m、移動土塊量240,000m3であり、計器による観測では断続的に最大1.0mm/日の移動量が観測された。
2.地形・地質の概要 県内の天竜川周辺の山地は、勾配40度以上の急斜面を示しているが。西向きの斜面の方が東向きの斜面に比べて傾斜が緩い傾向がある。これは地質構造に影響されたケスタ地形であると思われる。天竜川に直接接する斜面には所々に緩斜面が存在し、これは地すべり活動により形成されたものである可能性が高い。 当地区もこれらのうちの1つであり、南北方向に細長い馬蹄形の急斜面に囲まれた南向きの斜面で、南端部は直接天竜川に接している。また緩斜面の上部2/3は平均勾配約25度であるが、斜面下部は約30度の平均勾配を有しており、上部斜面に比べてやや急傾斜となっている。このような地形は当地区の初生地すべりにより形成されたものであるが、地すべり地形の特徴が明瞭に残っていることから、地形的には比較的新しい地すべりということができる。 地質的には、西南日本外帯の三波川・御荷鉾帯と呼ばれる地質構造帯に属し、中生代ジュラ紀〜白亜紀に形成された三波川結晶片岩類が基盤岩として分布しており、被覆層として未固結の崩積土、崖錐堆積物及び沖積層等が基盤岩を覆っている。三波川帯中の結晶片岩類は、緑色片岩、黒色片岩、珪質片岩などから形成され、その多くは片理の発達した異方性のある岩盤であり、新鮮部でも片理面の強度は高くない。 地下水は崩積土中〜風化基盤岩中を流れているが、斜面のいたるところで湧水が認められ、特にブロック中央の湧水は常時豊富に認められる。また、斜面の下部では地表面付近に湧水が認められている。ボーリング孔内の水位観測結果では、常時では地下水は深い深度にあるが、降雨時にはすべり面付近まで上昇することがわかっている。
3.素因・誘因 素 因 ○厚く堆積したルーズな崩積土 ○流れ盤構造
誘 因 ○降雨による地下水位の上昇
4.対策工事の概要 横ボーリング工 水路工 鋼管杭工 グラウンドアンカー工
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(1) 地すべり対策工平面図 (2) 地すべり対策工断面図
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