林野庁所管 福用(庄屋沢)地すべり | 静岡県 |
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1.地すべりの概要 名称:福用地すべり 位置:静岡県榛原郡金谷町福用(庄屋沢) 地すべり指定地面積:8.19ha 活動地面積:約2.Oha 地すべりの規模:斜面長200m、幅120m すべり面深度:10〜20m 推定移動土塊量:19万m3 保全対象山林8.11ha、畑地0.08ha、庄屋沢、 下流500mの福用集落 福用(庄屋沢)地すべりは、静岡県榛原郡金谷町福用地内にあり、水系的には、1級河川大井川支流福用川の支渓庄屋沢の流域にあたり、福用川および庄屋沢の右岸側、標高150〜350mの北〜北西向き斜面である。 平成4年2月には、地元民によってA-1ブロック頭部の地すべり亀裂が発見され、その後平成5年5月末〜7月中旬の問で再滑動が認められている。地すべり地内には、直接的に被害を及ぼす人家などはないものの、地すべりの移動により、末端部の庄屋沢および福用川が埋没する可能性が高く、下流域への広範囲な被害が心配される。 地すべりは、A〜Fの6ブロックに区分される。このうち、とくに動きが活発であるのはAブロックの中のA-1ブロックである。A-1ブロックは、平成4年2月に発見された新規亀裂に囲まれるブロックであり、斜面長200m、幅120mの地すべりである。地すべり冠頭部と左右の側壁が明瞭であり、段差は10〜60cm、開口部分は10〜50cmに及ぶ。部分的に2〜3条の亀裂が発生しており、亀裂と亀裂の間隔は最大15mに達し、小さな尾根を超えて、亀裂が連続している(地すべり亀裂)。 2.地形・地質概要 地すべり地に分布する基盤地質は、四万十帯に属する古第三紀三倉層群の泥岩(頁岩)優勢層と砂岩優勢層である。表層地質としては時代未詳の旧期土石流堆積物が庄屋沢の左岸側に分布しており、現渓床の堆積物や福用川の沖積層がみられる。 地すべり斜面の末端部は、35°前後の急勾配が70mほど続き、その上部は傾斜15°前後の緩斜面が120mほど続いている。更にその上部は、急斜面と緩斜面が繰り返し、標高670mの経塚山へと続いている。平成4年2月にみつかった新しい亀裂の上方斜面にも古い地すべり陥没帯が認められ、地すべりの歴史を示唆している。 3.素因・誘因 素 因 ○すべり面等高線から現地すべりのすべり面は平板形を示し典型的な岩盤すべりをなす。 ○すべり面の傾斜は、斜面下方で11°、中腹部で20°〜21°、斜面上部で23°〜16.5°である。地すべりの主働部はおおむね11°〜20°程度である。 誘 因 ○地すべりは、平成5年度に再滑動しており、降雨に呼応した水位の上昇やすべり面のひずみ変動量の増大が認められている。また、下部斜面の小ブロックは、末端急斜面の湧水群より上方で発生しており、地下水が関与している。これらの湧水群により発達するとみられる沢の開析も地すべり誘因の一つと考えられる。 4.対策工事の概要 地下水排除工(集水井、地表ボーリング暗渠工)、山腹工、護岸工、治山ダム、アンカー工 |
地すべりの特徴 (1) 模式柱状図 (2) 地すべり面等高線図 (3) 庄屋沢の断層粘土 (4) 地すべり亀裂 (5) 伸縮計観測結果対比図 (6) 地すべり断面図 |