農村振興局所管 日坂地すべり |
静岡県 |
日坂地区 災害関連緊急地すべり対策事業 対象ブロック全景写真
掲載号:vol.36 No.3(2010年、通巻108号) |
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当地区は掛川市日坂にあり、東海道旧日坂宿の北約1kmにある丘陵地に位置する。 平成6年度に大規模な地すべりが発生したため、災害関連緊急地すべり対策事業を実施し、災関事業後も継続して事業を実施し、平成17年度に概成した。 区域面積は21.7haで、そのうち農地が10.8haを占める。保全対象として、農地、人家15戸や中部電力の送電鉄塔6基。普通河川などがある。 当地区は、平成6年5月末の連続豪雨により地すべり活動が活発化した。幅150m、長さ200mの範囲で変位量が20〜80cmの連続する段差や開口亀裂が確認され、6月上旬には伸縮計による計測で7mm/日の変位を観測した。これらの変動に伴い、JR送電線鉄塔の傾斜、茶園防霜ファン電柱の変形などの被害が発生した。また末端部に位置する渓流に施工されている堰堤部では、水吐け部から上の部分が分離して持ち上がりずれを生じたり、側方部においても主動部に引っ張られるように小規模な地すべりも発生した。
2.地形・地質の概要 当地区周辺は、古第三系瀬戸川層群の上に、泥岩・砂岩の互層より構成される新第三系中新統倉真層群が重なっている。 当地区は倉真層群の砂岩・シルト岩が風化されて生じた表土に覆われており。尾根部は主に茶園として利用されている。また排水施設は整備されておらず、降雨によってもたらされる水は茶園から容易に地下に浸透しやすい状態である。このようにして供給された地下水が、泥岩・砂岩及び頁岩を脆弱にし、地すべりを引き起こしている。 地下水位は概して深度10m以浅を示し、斜面中部及び下部では湧水や湿地帯が所々見られる。斜面上には常時流下する表流水はなく、降雨直後に自然の水路や土水路に流下するのが見られる程度であり、地下へ浸透する量はかなり多いと思われる。これらの地下水が地すべり活動を誘発していると思われる。
3.素因・誘因 素 因 ○脆弱化しやすい岩盤(新第三系中新統倉真層砂岩・泥岩) ○集水地形 誘 因 ○降雨による地下水位上昇
4.対策工事の概要 集水井工 横ボーリング工 排土工 鋼管杭工
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(1) 地すべり対策平面図 (2) 地すべり対策断面図
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