林野庁 所管 山谷(やまだに)地すべり | 島根県 |
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地すべりの概要 1. 地すべりの地概要 山谷地すべり地区は平田市の北東約4.5km、島根半島中部に位置する標高60m程度の丘陵地であり、南方に一級河川斐伊川流域の出雲平野と宍道湖が広がっている。この地域では昭和39年、47年、62年の集中豪雨を契機に地すべりや崩壊等が多発してきた。地すべり指定面積は27.31haで、4つの地すべりブロックに大別され、更にこれらが19個の小ブロックに細分されている。この内、D、K、K′、Rの4つの小ブロックは対策工事が施工中あるいは完了しており、その他は未調査ブロックであって、D,Rの両ブロックに、平成9年7月の豪雨の際、滑落・隆起・押出し等の変状が見られたが、両ブロックとも対策工事の後は安定化している。 Dブロック: 斜面長 約85m、幅 約70m ・斜面上部− 山腹に落差0.5〜2.0mの滑落崖および段差が80m程にわたり発生。この15m下方にも、連続性の良い二次すべり頭部の開口亀裂が確認され、頭部凹地を形成。すべり面深度は10m前後。地下水位はGL−7.0m付近が降雨時に顕著に上昇。 ・斜面中部〜下部− 斜面上部の滑落崖や開口亀裂が側方亀裂へとつながっている。すべり面深度は5m程度で、すべり面傾斜は5°以下。地下水位は常時地表面付近にあり変動幅は小さい。 ・斜面末端− 押出しに伴う崩壊や隆起、圧縮亀裂の発達。末端下方の溜池には影響なし。 2.地形・地質概要 本地区は、南方に広がる沖積平野に移行する丘陵地先端部に位置し、標高は5〜60mである。斜面傾斜は概ね15°以下であるが、斜面中〜上部では30°程度の比較的急な区間が存在する。 当地区を含んで周辺には新第三系中新統古江層の黒色〜暗褐色泥岩とシルト岩が層理をほとんど伴わず塊状に分布しているが、凝灰岩や砂岩の薄層を挟むことがある。地区北部には東西性の背斜軸があり、地区内の南向き斜面では流れ盤構造となっている。また、モンモリロナイトを多量に含み、露頭の大半はスレーキングが著しい。稜線付近を中心にしばしば厚い風化層を伴っている。 3.地質概要 (1) 素因:@地表水の滞留・浸透を促す頭部凹地や地形勾配の変化点の存在 A地下水の速やかな排出を妨げる溜池の存在 B地すべり推力を与えた頭部付近のやや厚い崖錐粘土層・風化泥岩層の分布 C集中豪雨時におけるすべり面の剪断強度低下 (2)誘因:豪雨による地すべり頭部付近の間隙水圧の上昇。 4.対策工 排土工,ボーリング暗渠工 |
地すべりの特徴 Dブロック全景 Dブロック対策工断面図 Dブロック対策工平面図 島根県地質図 |