構造改善局 所管 大黒山麓(だいこくさんろく)地すべり | 島根県 |
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地すべりの概要 1. 地すべりの地概要 大黒山麓地すべり防止地区は宍道湖の南西端から4kmほど南に入った山間部にあり、大黒山の東方山麓に位置していて、昭和34年3月31日に指定を受けており、山王寺地区と並んで県内で最も古い指定地の一つである。ここでの地すべりは有史以来続いてきたが、昭和35年〜43年の地表水排除工事と暗渠排水工を中心とした水抜ボーリング工、杭工などが第一期工事として実施され、昭和61年度以降の地下工事中心の対策工事(第二期)により、近年鎮静化しつつある。 大黒山地すべりは形態と後述の地質とから2つに分けられる。 T.堆積岩(泥岩・凝灰岩)の分布域――地区中央部の大すべり地区中央部をSW→NEにすべる地すべりで、5°〜10°のなだらかな斜面を形成している。素因の項に述べる事から、すべり深度の深い粘稠型の地すべりを形成し、地区南部の断層沿いの地下水脈および北〜西部を取り囲む凝灰角礫岩や流紋岩によるキャップロック作用で豊富な地下水が供給され、豪雨時の間隙水圧上昇を誘因として地すべりが発生しているものと考えられる。 U.火砕岩類・安山岩の分布域――地区周辺部・南部の崩壊型すべり比較的風化に強い岩盤を基盤とする地すべりで、断層と離れているか、近くても元来硬質なために影響が少ない。10°〜25°のやや急斜面を形成し、風化深度はあまり深くなくてすべり深度も一般的に浅い。このため、多くの場合に単純円弧で動きの激しい崩壊型地すべりとなっている。すべり土塊としては、崩積土が硬い岩盤に直接乗っているケース、崩積土が崩落してしまって粘土あるいは礫混じり土より成る風化層が移動するケースなど様々あり、礫混じり土の風化が発達すると良透水性となって下流に向けて多量の雨水を浸透させている。 2.地形・地質概要 大黒山麓地には大まかに見ると幅500m、長さ900mにも及ぶなだらかな斜面が広がっているが、細かく見ると分離小丘やため池、湿地帯などが複雑な起伏を成していて典型的な地すべり地形を呈している。 地区周辺は因美型花崗岩を基盤としていて、地区南部では川合層の安山岩とその上位を覆う新第三系中新統の久利層の泥岩および砂岩、流紋岩質火砕岩(凝灰岩・礫岩)が地すべり地の基盤を成している。崩積土層の分布は最大層厚は10mである。地区内では断層の発達が顕著であり、随所で地層分布や不動層深度のずれが起きている。地すべり地頭部〜中腹部にかけては斜面に対して水平から緩い流れ盤を、脚部の伊志見川沿いでは受け盤を呈している。 3.素因・誘因 地区中央部 (1) 素因:@N-S、NE-SW、E-Wトレンドの断層が発達し、ブロックの規制と堆積岩の軟弱化に寄与 A向斜構造で地下水がたまりやすく、風化がより促進される B泥岩および流紋岩質火砕岩の著しいモンモリロナイト化 (2) 誘因:豪雨による地下水の間隙水圧の上昇 4.対策工 集水井工7基,横ボーリング工,杭工 |
地すべりの特徴 大黒山麓地区地質図 大黒山麓地すべり断面図 大黒山麓地区不動層等高線図 島根県地質図 |