林野庁所管 佐里地すべり | 佐賀県 |
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地すべりの概要 1.地すべりの概要 佐里地区は佐賀県唐津市相知町の南西部、日高地山稜線の北西向き斜面の標高200mに位置する。昭和37年11月に地すべり防止区域の指定をうけている(130ha)。佐里地区の地すべりは大別して3区域の地すべりブロックが存在する。 現在事業が行われているブロックは、最も規模が大きく、顕著な地すべり活動が認められるブロックである。昭和43年〜平成2年にかけて実施された事業により本防止区域は概成とされたが、平成14年に地すべりの再活動が確認された。そのため平成15年度より事業が再開され、現在も継続中である。そのほかのブロックは、過去の対策により現在は安定を保っている。 2.地形概要 佐里地区は日高地山の北西斜面に位置する。北西斜面は中央部を流れる渓流を境に地形の特徴が二分される。渓流より東側の斜面では全体に急峻な地形をなしているが、標高150〜180m付近に緩やかな斜面が広がっている。この緩斜面に佐里地区は位置する。緩斜面山側は遷緩遷を境に日高地山山頂へと続く急崖が続いている。 3.地質概要 佐里地区周辺には、新第三紀始新世相知層群、漸新世杵島層群が分布する。佐里地区では、緩斜面背後の急崖に杵島層群佐里砂岩層が分布し、緩斜面には杵島層群杵島層の頁岩〜砂質頁岩が確認されている。地質構造はN-S走向で西側に5〜15°傾斜している。 また、地すべり斜面を挟むように二本の断層がNW-SE方向に延びており、地すべり斜面の外側では走向が異なっている(地質断面図)。 4.地すべり機構 地すべり斜面の最大傾斜方向は北西方向であるが、地すべりの活動は地質構造を反映して、西方へ移動している。斜面に斜交した活動形態のため、地すべりの横断形状はくさび形の非対称形状をなしている(地すべり横断図)。 [素因]
降雨に伴う間隙水圧の上昇が地すべり発生の誘因である。 5.対策工 対策工は、抑制工と抑止工を併用している。抑制工は地すべり誘因である地下水を排除するための集水井工が新たに4基計画され、平成17年度までに3基が完成している。 抑止工は杭打工が計画されている。これまでに施工された集水井工の効果(地下水位変動図)により地すべり活動は沈静化しており(地表伸縮計変動図)、安全率も上昇傾向にある。未施工の集水井工については、施工済みの対策工効果を考慮して実施しない方針とし、今後は抑止工の実施へ移行する時期にある。 |
地すべりの特徴 断面位置図・地質断面図 地すべり縦断図 地すべり横断図 地下水位変動図 最高水位低下高の等高線 地表伸縮計変動図 地下水変動幅の変化 |