地すべりの概要
1.地すべりの概要
佐賀県西部、大町町の北側に発達する丘陵地の南斜面に位置する。この一体の緩斜面は樹園地(ミカン畑)に利用されている。
大谷口地すべりは昭和23年から24年にかけて地すべり活動があり、横ボーリング工による対策が行われ、地すべりは安定化した。しかし、平成2年6月29日から7月2日にかけての豪雨(492mm)により、新たな地すべり活動が生じ、古い地すべりの背後斜面に新たな滑落崖が形成された。
2.地形概要
丘陵斜面の斜面勾配は地層を構成する岩石の硬軟を反映している(地質断面図)。地すべりは、佐里砂岩層と行合野砂岩層が分布する急斜面の下半部で発生している。
3.地質概要
周辺地域の第三紀の砂岩・砂質頁岩とこれを被覆する第四紀の玄武岩類で構成される。地質構造と地すべりとは受け盤の関係にある。
地すべり地の地質は、下位より砂質頁岩、風化により脆弱化した砂岩、崖錐堆積物で構成されている。崖錐堆積物が地すべり移動土塊となっており、その層厚は5〜10mである。地すべり斜面下部には断層破砕帯の存在も確認されている。断層破砕帯は粘土化しており、地すべり地の水理地質に大きな影響を及ぼしている。
4.地すべり機構
[素因]
破砕帯が難透水層を形成しており、豪雨時に地すべり下部に地下水のダムアップ現象を発生させる構造をなしている(破砕帯による遮水現象)。
[誘因]
豪雨による地下水供給と破砕帯による地下水のダムアップ現象による間隙水圧の上昇。
5.対策工
地すべり機構と保全対象を考慮し、水抜ボーリング工と杭工が採用された。
[安全率の変化]
初期安全率 Fs=0.95
地下水排除工 Fs=1.001(水位低下1m)
鋼管杭工 Fs=1.20
[対策工概要]
地下水排除工 水抜ボーリング工
杭工(合成杭) 39本(鋼管杭 φ267.4mm H鋼 H150)
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