林野庁所管        峰地すべり   佐賀県 


              位置図                    地すべり平面図

「地すべり技術」掲載号:Vol.33,No.2(2006年11月,通巻98号)
地すべりの概要

1.地すべりの概要

 峰地区は長崎県との県境に近い、佐賀県北西部の伊万里市山城町に位置し、北松型地すべりが発達する西部丘陵の一角にある。古くから地すべり対策事業が進められていた経緯があり、近年では平成11年より事業が再開され、現在も継続されている。
 昭和51〜58年には峰地区西方のB-1ブロックで調査が実施され、集水井工2基が施工された。再開された平成11年以降は、Aブロック、A-1ブロック、A-2ブロックおよびB-1ブロックを対象に、調査・工事が進められている。現在地すべり変動が確認されていないBブロックは対策対象から除外されている。

2.地形概要
 調査地周辺の地形は以下の3つに区分できる。
(1): 標高400〜500mの溶岩台地
(2): 標高100〜400mの伊万里湾に面した溶岩台地端部の急傾斜地
(3): 標高100m未満の緩斜面および海岸沿いの小規模低地
 峰地区はAの地形を開析する楠久川上流部北側に位置する。楠久川の谷頭急斜面より上部、標高300m付近の緩斜面に峰地区は位置する。

3.地質概要
 峰地区周辺の地質は、第三系佐世保層群の堆積岩類とそれを覆う松浦玄武岩(玄武岩および凝灰角礫岩)に二分される。前者は標高200m付近より下方の緩斜面に分布し、後者は標高200m以上の急斜面を形成している。峰地区は標高300m付近に位置し、松浦玄武岩類の分布域にあたる。

4.地すべり機構
[素因]

(1): 軟質な土砂層(玄武岩起源)が厚く分布している(最大層厚40m)
(2): 流れ盤の地質構造
(3): 斜面上部のBブロックの基盤をなす玄武岩類より供給される地下水の存在
[誘因]
  降雨時の地下水供給を発端とする間隙水圧の上昇。

5.対策工
 本地区の地すべりの特徴は、
(1): 活動は降雨期に集中
(2): 崩積土層内に賦存する豊富な地下水
(3): 斜面の一部を共有する各ブロックの活動が連動
 このような特徴から、抑制工(集水井工)により活動を緩和させ、抑止工(杭工、アンカー工)により地すべりを停止させるといった対策がとられている。
  
地すべりの特徴
  峰地区周辺の地質図
  断面図
  対策工一覧表