地すべりの概要
1.地すべりの概要
綾崎地区は、佐賀県の北西端に位置し、東松浦半島西部の玄海国定公園に指定されている海岸線に位置する。平成3年の梅雨期に幅150m、長さ100mの規模で地すべりが発生した(一次すべり)。その後、一次すべりの下部斜面右側に二次すべり、三次すべりが連鎖的に発生した。この地すべり活動によりタバコ畑、水田が被災した。
地すべり対策は平成3年12月から平成4年3月にかけて実施されている。
2.地形・地質概要
東松浦半島一帯は、玄武岩溶岩が第三紀層を覆って形成された標高100〜200mの波状形状台地をなしており、上場地帯と称されている。
すべり面はシルト質粘土層を基盤とし、その上に載るN値2-3の軟弱なシルト層(谷床堆積物)中に存在している。この層は粘土鉱物分析結果によると、他の深度よりも著しくモンモリロナイトに富んでいることが示されている。
3.地質概要
基盤岩である硬質な砂岩・泥岩の上位に風化した砂岩・泥岩や、玄武岩起源の礫混じり粘性土が分布している。玄武岩起源の礫混じり粘土層中には木片混じりの粘性土薄層が挟まれており、すべり面形成に関与していると考えられる。
木片混じり粘性土層と粘性土層の境界付近は極軟となっており、すべり面を形成しやすくなっている。また、木片混じり粘土層が不透水性地盤を形成しており、地すべり斜面の地下水環境に影響を与えている。
4.地すべり機構
[素因]
礫混じり粘性土層中に挟在される木片混じり粘性土層の下位に分布する風化岩は脆弱ですべり面が形成されやすい。
木片混じり粘性土層が不透水性地盤を形成し、地すべり斜面への地下水供給、地下水位上昇に関与している。
[誘因]
梅雨期の豪雨により供給された雨水が地下水位を上昇させ、地すべりを不安定化させた。
4.対策工
一次すべり:集水井工・横孔ボーリング工・せん断杭
二次すべり:せん断杭
三次すべり:ふとん篭工
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