国土交通省 所管        猿供養寺地すべり

新潟県

猿供養寺地すべりの全景(地すべり学会新潟支部ほか,1998

                                     

引用文献:地すべり学会新潟支部ほか(1998):新潟県の地すべり’98

地すべりの概要

1.地すべりの概要

当地区は新潟県西部に広がる東頸城丘陵と関田山地の境界付近にあり,上越市の市街地より南西へ13kmの緩やかな丘陵地にある。この周辺は高田平野の中央部を日本海に向かい流下する一級河川関田川水系に含まれており,その支流である大熊川の中流域右岸に当たる。

その範囲は,地すべり地頂部にそびえる丈ヶ山(571.6m)の西側山腹から猿供養寺集落を経て大熊川にまで達し,長さ1,700m,最大幅400m,高低差300m,面積44.3haと広範囲である。

地すべりの記録は約800年前から残るが,1959年〜1969年頃に活発な活動歴を有史,平成10年当時も細分化された100200m規模の地すべりが滑動を続けている。変動量は平成10年当時で年間数cmの微量な変動が一部のブロックで確認できる程度で,活発な滑動は鎮静化する傾向にあった。

  

2.地形・地質概要

当地区は関田山系の西側斜面に当たり,比較的起伏の多い東頸城丘陵に属する。標高は220520m,比高300mである。

周辺の地質は,新第三紀中新世の堆積岩を主体とし,部分的に貫入岩体が認められる。ただし,地表部は崩積土類により厚く覆われており,基岩の露出はない。当地区に分布する新第三紀中新世の地層は寺泊〜椎谷層である。一般に寺泊〜椎谷層は,新潟県の地すべり多発地帯においても,きわだった地すべり発生母岩として知られている。特に,構造運動に関連して背斜・向斜の著しい褶曲帯においては,不動地を求めることが困難なほど地すべりブロックが密集している。

3.素因・誘因

(1)素因:破砕及び変質を受けた深層風化の進行,褶曲構造,豊富な地下水。

(2)誘因:融雪,秋雨。

4.対策工

集水井工,杭工,暗渠工,しゃ水壁工,横ボーリング工

地すべりの特徴

地すべり平面図

地すべり模式断面図