長野県農政部 太田入(おおたいり)地すべり | 長野県 |
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地すべりの概要 1.地すべり地の概要 集落と滝ノ脇集落のほぼ中間に位置する。周辺には、多くの地すべりがあり、最近まで活発であった。地すべり地は、古くから水田の開発が行われてきた。しかし、近年は廃止される水田が多くなり、管理されない農地が災害を受けるようになっている。 2.地形概要 地すべり地は、松田川西側の斜面中腹に位置する。斜面は、平均して15〜20゜程度の傾斜で、場所により比較的広い平坦面がある。 3.地質概要 地すべり地の基盤岩は、新第三紀の富倉層である。岩相は、主に砂岩・泥岩からなり、一部に礫岩を挟む。地質構造は、太田入地区の西側を北北東−南南西方向に富倉背斜が通り、走向は北東−南西方向、傾斜は南東に60〜80゜である。また、太田入地区の南西には毛無山があり、大平峰溶岩と呼ばれる火山岩で構成されている。毛無山周辺には、これらの火山岩礫を多量に含む崖錐堆積物が分布し、地下水を多量に含むキャップロック構造になっている。 4.地すべり状況 平成12年5月上旬に、地すべりブロック末端付近の市道で地すべり土塊の押しだしが確認された。地すべりの規模は、 延長約200m、幅15〜30mであり、浅い谷状地形を呈している。地すべり土塊の当初の移動速度は数10cm/日であったが、6〜7月の梅雨期には、活動が活発になり市道が大きく決壊した。 この時点で、累積移動量は10m以上に達した。さらに、10月の秋霖期には、地すべりブロックのほぼ半分が、半日で150〜200m程度流動的に移動した。 5.地すべり発生機構 素因: 軟質な新第三紀の砂岩・泥岩から構成され風化作用を受けやすい。山が急峻で河川の浸食を受けやすい。火山岩礫を主体とする崖錐堆積物は地下水の貯留層になっており、恒常的に地下水の供給源になっている。また、水田の管理不足により融雪水や降雨水が直接地下浸透する。 誘因: 春先に供給される大量の融雪水が間隙水圧増加による剪断抵抗力の低下を発生させた。また、その後の活動に関しては、秋霖期の降雨が地下水・地表水として多量に供給され、土塊の不安定化し、再発させた。 6.地すべり対策工事 (1)応急対策 不安定な状態で存在する土塊を下流側の国道へ到達させない工法を検討した。 (2)警戒態勢 地すべりブック内と押し出し土塊先端部に土石流センサを設け、国道の通行止めと地すべり担当者への連絡を直ちに行えるように自動監視システムを設置した。 (3)対策工 堰堤工と水路工を施工した。 |
地すべりの特徴 地質断面図 警戒体制概要図 警戒体制 地すべりの経過と緊急対策比較案 |