地すべりの概要 1.地すべりの概要 50年3月に地すべり防止区域に指定され,復旧工事が開始されたが,昭和51年10月に,尾根全体にわたる長さ700m,幅150〜200m300万m3の地すべりが発生した.地表の移動方向は尾根の伸長方向で,岩盤の地層の走向にほぼ一致する(図3).地すべり頭部付近ではすべり面勾配約15〜10°,厚さ20〜30m程度であるが,末端部付近はほぼ水平,厚さは約50mとなる(図4)。地すべり末端部は高位段丘面を覆っており,過去に地すべり土塊の大規模な移動があったと想定される.奈良尾地すべりは,この旧地すべり土塊が,風化岩盤中にあらたに形成されたすべり面に沿って再滑動している,一種の岩盤地すべりである。 2.地形・地質概要 奈良尾地すべり地の周辺には,標高800〜850mの平坦な尾根や平頂峰で代表される侵食平坦面が発達する.この地形面は,高位段丘面(標高680〜700m)より古く,旧地すべりはこの平坦面の縁辺部に集中している。(図1) 基盤の地質は,主に細粒〜粗粒砂岩からなる後期中新世の権田層であり,走向はN70,傾斜はNW25°〜30°を示す。すべり面は,新鮮岩盤上位の風化岩盤中に発生している。(図4) 3.素因・誘因 (1)素因:堆積構造と地質構造ひずみ,侵食・崩壊による斜面形態の変化。 (2)誘因:融雪・降水による基盤内の間際水圧の上昇 4.対策工 昭和51年度から実施され,重点的に地下水排除工が実施されている。 横孔水抜ボーリング(4,400m) 集水井工(1−7号) 排水トンネル工(L=230m) その他,杭工,土止工,排水路工,堰堤等
地すべりの特徴 図3奈良尾地すべりの平面図 図4地質断面図 引用文献:斉藤豊(1982):奈良尾,アーバンクボタNo.20,(株)クボタ 図2位置図は以下報文より引用 地すべり技術Vol.18,No.3,1992年3月 通巻54号:長野県の地すべり−土地改良課(構造改善局所管)における地すべり対策について−北沢隆幸,望月巧一,土屋好幸,藤田大三郎