林野庁所管 長久保地すべり |
長野県 |
「地すべり技術」掲載号:Vol.38,No.2(2011年,通巻113号)
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地すべりの概要
1.地すべりの概要 長野県安曇野市字長久保に位置する、地すべり防止区域である。 昭和35年に地すべり防止区域に指定され、その面積は44.58haにおよぶ。 これまで、ボーリング暗渠工、水路工、谷止工などの抑制工が主体に施工されてきた。そのほかに、抑制工としてアンカー工も採用されている。 「長久保地すべり」では、平成19年5月9日に、長さ250m、幅200m、深さ(最深部)40m、移動土塊約160万m3の地すべりが発生した(災害ブロック)。この地すべりは末端部を流れる小芹沢の渓床をおよそ5m上昇させた。この地すべりでは、小芹沢下流の集落が被災する懸念があったため、携帯電話網やインターネット、ウェブカメラを利用したソフト対策も行われている。
2.地形・地質概要 (1)地形 防止区域内のほぼ中央を、小芹沢が南方に流下しており、その両岸に小芹沢に向かって移動する地すべりが配列している。災害ブロックの縁辺部は、複数の系統のリニアメントで画されていることから、災害ブロックの平面形態はリニアメントに規制され(地質的弱部が規制条件となって)形成されていると考えられる。
(2)地質 新第三紀中新統の青木層下部層が分布する。砂岩・泥岩および砂岩泥岩互層で構成される。 防止区域東側に位置する込地向斜の西翼に位置する。災害ブロックは受盤斜面となる。
3.地すべり状況(災害ブロック) 平成19年5月9日:地すべり発生 平成21年5月7日〜11日:再活動 最大2m/日 累積変位量6m
4.地すべり機構 災害ブロック背後斜面における詳細な調査(ボーリング・ボアホールカメラ・水質(イオン)分析)により、以下の地下水供給機構が明らかとなった。 ・災害ブロックの左側壁にそって、向斜軸が通過している。 ・地下水は向斜軸に沿って流下しており、その一部が災害ブロック内に流入している。 ・右側壁側からの地下水流入はない。
5.対策工 現状安全率 Fs=1.00 目標安全率 Fs=1.15とし、抑制工による対策工計画が立案されている。 抑制工として、地下水排除工(集水井工・ボーリング暗渠工)、押さえ盛土工および頭部排土工を組み合わせた、対策工計画となっている。これらは、平成21年度に施工が始まっており、平成25年完了予定。 これらの防止工事の効果が不足する場合には、向斜軸に沿って流下する地下水を排除するための、地下水排除工を検討する予定。
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地すべりの特徴 |