林野庁所管        小土山地すべり

長野県

    

 

位置図

「地すべり技術」掲載号:Vol.38,No.2(2011年,通巻113)

地すべりの概要

1.地すべりの概要

長野県北部の小谷村を流れる姫川の左岸に位置する。地すべり斜面は姫川に接しており、地すべり活動による姫川への土砂流出がしばしば発生している。

昭和46年には規模の大きな地すべりが発生し、移動土塊が姫川をせき止め、湛水による甚大な被害が発生した履歴がある。

平成4年、平成20年にも隣接斜面で発生した地すべりの移動土塊が、姫川に流出している。

2.地形・地質概要

姫川流域は、糸魚川-静岡構造線が通過しており、複雑な地質構造をなしている。

地すべり地内には、糸魚川-静岡構造線の一部と考えられる姫川断層が南北方向に通過している。

姫川断層を挟んで、年代が大きく異なる新第三紀層が接している。

3.地すべり状況(平成203月の融雪災害)

平成20328日に、斜面上に段差の発生が確認され、翌29日の2155分に、幅40m、長さ100mの地すべりが発生した。地すべりの変位速度は7mm/時間(伸縮計観測)であった。

地すべり土塊は姫川の河道の約三分の二を埋塞した。

4.地すべり機構

地すべりブロックを横断するF-1'断層の存在が素因のひとつと考えられる。

F-1'断層はダムの役割を果たしており、地すべり上部斜面に大量の地下水をダムアップしており、地すべり斜面への地下水供給源となっている。

5.警戒監視体制

・ネットワークカメラ

10秒間隔の静止画をWEB上で公開。

・自動観測装置

パケット通信機による自動観測と、WEB上での公開。

・警報メール

伸縮計変動量増大時に、関係者へ警報メールを発令する体制を構築。

・無線警報装置

地すべり斜面内で工事中の作業員に危険を伝達するために活用。

6.対策工

(1)地下水排除工

・ボーリング暗渠工:応急対策として実施。

・集水井工:F-1'断層西側の地下水ダムアップ解消に大きな効果を発現した。

(2)押え盛土工

崩壊流出土を利用した押さえ盛土工。

材料の強度不足を解消するため、盛土内に補強材として丸太(カラマツ)を使用した。

地すべりの特徴

対策工概要図(平面図)

対策工概要図(断面図)

丸太積工併用の押え盛土工