構造改善局所管 上手村地すべり | 長野県 |
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地すべりの概要 1.地すべりの概要 上手村地区は、長野県北西部の姫川支流の土谷川沿いに位置する。上手村地区の北西側には安山岩貫入岩が独立法(立山)を形成し、その山麓緩斜面が地すべり地となっている。上手村地区はなだらかな斜面と豊富な地下水の存在により、古くから集落が発達し、江戸時代にはすでに用水(土谷堰)が整備されるなど、土地利用が盛んであった。 明治34年と昭和8年に大規模な崩落があったといわれており、昭和35年、昭和51年(追加)に地すべり防止区域に指定されている。 2.地形・地質概要 (1)地形 当地区周辺の地形は、基盤岩の地質を良く反映している。 安山岩貫入岩(立山の山体):突出した独立峰をなす。 長崎層-泥岩:緩斜面や小規模な平坦面が発達。 長崎層-砂岩:急な山地が主体をなす。 (2)地質 ・糸魚川静岡構造線の東に位置し、中新世の堆積岩類(長崎層)の分布域にあたる。 ・長崎層は小川層に対比され、長野県北部に広がる地すべり多発地域の一郭をなす。 ・地すべり斜面と地質構造の関係は流れ盤である。 ・地すべり区域を石原断層が横断する。断層は、地すべり地の水理地質構造に大きく関与している。 3.地下水状況 ・地すべり地全体に湧水や湿地帯が多い。 ・石原断層を境に山側の地下水位が高く、地下深部の帯水層の水頭も非常に高い。 ・深度40m以上の破砕泥岩から200L/min以上の地下水が自噴した調査孔あり。 ・安山岩(貫入岩)や亀裂の発達した砂岩に地下水が多く賦存し、断層の遮水効果により水頭 上昇をもたらしている。 4.地すべり状況 ・緩斜面上の浅い谷にそって、幅100m前後の地すべりが分岐、合流している。 ・連結した地すべり地の総延長は700mにおよぶ。 ・地すべり移動土塊は、崖錐堆積物や崩積土、水成堆積物などの被覆層である。 ・すべり面深度は5〜10m程度と浅い。 5.地すべり機構 [素 因] ・中新世の軟質泥岩の分布域にあたり、流れ盤の地質構造をなす。 ・亀裂性岩盤(安山岩、砂岩)に多量の地下水が賦存している。 [誘 因] ・亀裂性岩盤に貯留されている地下水が、地すべり区域の基盤を通じて、被圧地下水として作用 している。 6.対策工 ・表面水処理 自然水路沿いに、排水路、暗渠工を整備。 ・水抜工 湧水地を中心に横穴ボーリング工を実施。 ・抑止杭工 PC杭、鋼管杭が多数施工されている。 |
地すべりの特徴 地質断面図および断面図 模式的地下水水理機構図各種調査結果対比図 |