建設省所管       代次(よつぎ)地すべり 高知県  


代次地すべり位置図

「地すべり技術」掲載号:Vol.28、No.2(2001年11月、通巻83号)
1.地すべりの概要
 代次地すべりは、高知県高知市の北西約20kmに位置し、高知県中央部を流れる、一級河川の仁淀川支流上八川川左岸側の吾川・土佐山山地北斜面に位置します。
 地すべりブロック全体の平面形はボルトネック形を呈しており、南方から西方にかけて滑落崖が形成されています。滑落崖は過去の初生的な岩盤地すべりにより形成されたものと推定されます。現在の地すべりブロックは大崩壊時に移動した土塊が、再活動しているものと思われます。
 また、南方の尾根部には、大崩壊時に発生したと想定される、長さ約130mにも及ぶ長大な陥没帯が、尾根筋に沿って走っています。この陥没帯の中心部は幅7m、深さ10m程度と巨大であるものの、現在は活動していないと考えています。

2.地形地質概要
 代次周辺地域は、標高900〜1,000m程度の山地で、地質的な構造支配を受けて、東西方向の山地列を形成しています。四国山地と比べて、起伏量が少ないことも特徴です。河川による下刻作用は進んでいて、上八川川の下流域などでの河川侵食に著しいものがあります。
 地すべり地内の地形は全体として、南方と東西を尾根地形に囲まれた盆状地形を呈し、斜面下方で中央部の谷地形に向かって斜面が収束するような形状を示しています。斜面頭部から中央部にかけて、斜面勾配30〜35゜程度の急斜面で、中央部〜末端部では5〜20゜程度の非常に平坦地に近い緩斜面を呈しています。
 代次周辺地域は、秩父累帯秩父亜帯上八川累層に属しています。岩種は泥岩優勢砂岩泥岩互層を主体とし、頭部付近には層状チャートを挟んでいます。地層の走向傾斜は概ねN70゜Eの南傾斜を示しており、斜面に対して受け盤構造となっております。

3.素因および誘因
 素因:過去に移動経験を持つ岩盤地すべり地
 誘因:降雨による地下水位上昇

4.地すべり対策工事
  排水ボーリングエ、集水井工、水路工

地すべりの特徴
(1) 代次地すべり平面図
(2) A-1、A-2ブロック断面図
(3) 地表伸縮計観測結果