国土交通省 所管 田代(たしろ)地すべり | 神奈川県 |
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地すべりの概要 1. 地すべりの地概要 当地すべりは神奈川県北部,一級河川中津川沿いの愛川町田代地区に位置し,中古生層を基盤とする破砕帯地すべりであり,大きく3つのブロックからなる。古くから土砂災害が多発する地域であり、平成2年にCブロックにおいて一次沈静化していた地すべり活動が活発となったため,調査を開始し,緊急避難体制を構築するとともに,現在対策工の施工を進めている。 2.地形概要 標高250m〜500mの山地部に位置し,相模川支流中津川右岸の傾斜30°程度の斜面に発生している。斜面末端部は中津川の攻撃斜面にあり,地すべり末端部は洗掘を受けやすい状況にある。地すべり地の斜面には,滑落崖や溝状の段差地形など地すべり地特有の地形が認められ,地すべり地末端部にあたる国道412号の擁壁などにはクラックが発生している。 3.地質概要 北西−南東方面の藤野木−愛川構造線付近に位置し,地すべり地は構造線の東側にあたる白亜系の四万十帯小仏層群の黒色頁岩地域に分布する。黒色頁岩は破砕質な岩盤性状にある。 4.地すべり状況 平成2年に著しい変状が生じたため,応急対策として横ボーリング工を実施し一時的に沈静化していた。その後の地すべり調査・観測により,平成5年8月に地盤伸縮計に2.86mm/日の変動,各パイプ歪計においても確定変動が記録されたため,集水井工による地下水排除工を行った結果,平成6年度以降活動は小康状態となり,現在に至っている。 5.地すべり発生機構 素因: ・ 地下水を胚胎しやすい地質構造であること ・ 風化による強風化部の形成 ・ 地すべり末端部が中津川の攻撃斜面にあたる地形条件 誘因: 末端部の洗掘や地下水の変動による不安定化 6.対策工 Cブロックの対策工は,地下水排除工と地表水排除工により地すべり活動の鎮静化を図った後,計画安全率1.20に対して不足する抑止力を抑止工であるアンカー工を実施する。また当地すべり地は国道412号沿いに位置するため,警戒避難体制として厚木土木事務所でオンラインによる地すべり動態観測システムを導入し,雨量観測結果と共に監理基準値を設定したソフト対策も実施している。 |
地すべりの特徴 地すべり平面図 C,C-1断面図 Cブロック対策事業実施状況 |