岩手県所管        江刺市山舘地区地すべり災害復旧事業 岩手県



     山舘地区位置図            被災地全景 (三回目の崩壊後 平成11年1月)
 
掲載号:vol.31 No.2(2004年11月、通巻92号)
地すべりの概要

1. 地すべりの概要
 平成10年9月13日未明に発生した地すべり性の山腹崩壊であり、山腹上部を治山事業、下部を県土整備部所管の河川災害復旧事業で対応した。崩壊した山腹は傾斜が緩やかな丘陵地形をなし、地表面の傾斜は約20度、比高差は86mである。

2.地すべり状況
 地すべり規模は、災害発生当初は幅約120m、延長約150mであり、県道及び伊手川が被災した。3回目の崩壊では延長が235mになり、伊手川が完全に閉塞した。このため上流部の集落が浸水する恐れが生じた。

3.素因・誘因
素因:

地層は新第三系の稲瀬層及び金沢層の境界部分であり、凝灰角礫岩とスレーキング性の非常に高い凝灰岩から構成されている。地層の傾斜は15度であり、流れ盤構造になっている。
誘因:
最初の地すべりの発生2週間前に総雨量250mmの降雨、9月3日に岩手県を震源とする地震、その10日後に地すべりが発生。3回目の地すべり前の1月4日に20cmの降雪、6日に融解があり7日に地すべり再発。

4.復旧計画
・初期安全率をFso=0.9916、目標安全率をFsp=1.15とした。
・県道の縦断勾配を上げ、崩落した土砂を抑え盛土として利用した。
・集水井工、集水ボーリング工、杭打工を施工した。
・排土工は、役8万m3を施工した。 ・復旧対策の事業費は、1,651百万円になった。 
地すべりの特徴
 復旧計画平面図
 地すべり地質断面図
 復旧計画標準断面図