農村振興局 所管       岡田北(おかだきた)地すべり 石川県






地すべり平面図


位置図

「地すべり技術」掲載号:Vol.28,No.2(2001年11月,通巻83号)
地すべりの概要

1. 地すべりの概要

 岡田北地すべり指定地区は指定面積が93.7haで,A〜Hブロックの8つの地すべり ブロックに区分され、このうち地すべり移動が確認されているのはA,C,Hの3つで、Cブロックの移動量が最大となっている。Cブロックでは昭和49〜50年に頭部切土・末端盛土による農地造成が行われたが、昭和58年および63年に亀裂が発生し、一部に陥没帯を形成した。平成元年には7月の梅雨(7月11-12日、24時間降水量138.5mm)と9月の長雨(月降水量682mm)の2度に亘り、幅300m・長さ250mの範囲の随所に亀裂が生じた。 平成元年に移動量観測等を行い、平成3年度から地すべり調査・対策工事を実施。

2.地形・地質概要
 当区域は能登半島北端の標高100〜200mの丘陵地で、東北東−西南西方向に伸びる標高200〜300mの背梁部の南側に位置する。水系は北西−南東方向が卓越し、周辺の尾根には鞍部と独立丘が点列し、やせ尾根が多く見られる。現在は農地造成によって緩斜面が多いが、元は急斜面であった。渓流沿いには小規模な崩壊が多い。 地質は、主に新第三系中新統南志見層の暗青〜暗灰色の均質無層理泥岩であるが,しばしば珪質泥岩や凝灰岩を挟み、その部分においては層理が発達している。 Cブロックの北側に東西方向の向斜構造、南側に背斜構造が推定される。

3.素因・誘因
(1)素因:
@夾在凝灰岩付近に発達した層理
A褶曲等による、層理面に沿った分離面の形成
B亀裂の発達による泥岩中の地下水運動の増大
(2)誘因:
 融雪水および大雨に伴う地下水位の上昇による、すべり面のせん断抵抗力の低下、および河川侵食

4.対策工
  集水井工3基,堰堤工
 
地すべりの特徴
 現況のCブロック周辺の移動量分布図
 地すべり断面図
 調査・対策工平面図
 石川県の地質図