1.地すべりの概要
当地区は、北茨城市華川町上小津田の二級河川根古屋川右岸に位置する。平成3<年10月台風21号の集中豪雨により地すべりが発生し、移動土塊は根古屋川を110mに渡り埋塞し、根古屋川対岸の民家に家屋損壊の被害を及ぼした。地すべりの規模は,長さ約140m,幅約140m,崩壊土量は約22万m3であった。学識経験者並びに専門家で構成する「上小津田地すべり調査検討会」を設置し、地すべり機構解析及び対策工法等の計画検討を行った。その後,災害関連緊急地すべり対策事業にて対策工を実施し、平成4年度に事業概成となった。
2.地形・地質概要
<(1)地形:当地区は、阿武隈山地東縁にあり、根古屋川右岸の標高100m前後の丘陵地であり、5>〜10<°と緩やかな斜面勾配となっている。
(2)地質:基盤は、古第三系の白水層群に相当する砂岩、礫岩,泥岩を主体とし、東側に約15<°でゆるく傾斜する同斜構造を呈し、斜面に対して流れ盤となっており、堆積構造に沿ったすべり面が形成されている。
3.素因・誘因
(1)素因:1) 地質が砂岩・泥岩等の強風化岩により形成されていること。2)地すべり方向に流れ盤構造となっていること。3)背後の変成岩からなる山地からの地表・地下水が、当地区の台地面に貯留しやすい地形となっていることが上げられる。
(2)誘引:1) 平成3年8月〜10月の降水量が例年の同時期の約2倍あり、地下水位が高くなっていたこと。2)台風による集中豪雨で、急激な間隙水圧の上昇を招いたことが上げられる。
4.対策工
抑制工:排土工、集水井工、横ボーリング工、水路工等
抑止工:アンカー工、杭工
以上の対策工を実施し、平成4年度に概成。
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