兵庫県 所管 丹土地すべり (たんど) | 兵庫県 |
|
地すべりの概要 1.地すべり地の概要 丹土地すべりは、兵庫県美方郡温泉町に位置する。地すべりは約300年以前から活発な変動を生じているという記録が残されている。最近では明治8年、明治30年、大正11年に顕著な変動の記録が残っているが、昭和33年の地すべり等防止法制定後は、地すべり対策工の効果で顕著な変動は認められない。 2.地形概要 丹土地すべり周辺は新第三紀グリーンタフの照来層群の分布域に当たり、多数の地すべりが発生している。地すべり地末端部は河川に面して15〜20°の勾配を持つが、中には30°以上の急傾斜の部分も見られる。主体となる地すべり中央部は、長年の地すべり活動によって形成された凹地や凸地が複雑に組み合わさっているが、全体として4〜5°前後の緩やかな地形を形成している。これは北但層群の地すべり地と比べて対照的である。 3.地質概要 照来層群は但馬山地の西部、温泉町南東部一帯にかけて広く分布し、下位より流紋岩質溶岩を主体とする高山累層、成層の良い泥岩・凝灰質泥岩の縞互層の発達で特色づけられる春来累層、安山岩を主とする火山岩類からなる小代累層に三分される。春来累層には多くの地すべりが発生している。 4.地すべり状況 狭義の丹土地すべりは丹土〜多子〜桐岡の諸集落に囲まれたブロックに相当し(丹土地すべり平面図のV・Wブロック)、幅700〜1000m、長さ最大2800m、面積約220ha、すべり面の深さを10mとして体積(土量)は2200万m3という日本でも有数の地すべり地である。1987(明治30)年3月から1922(大正11)年3月にかけて、丹土集落の照来川に近い北西部から北方に向けてすべる地すべりが発生し、中でも1922(大正11)年2〜3月にわたる地すべり活動はVブロックの約25haの地域に及び、水平変動量は約6m、丹土集落でも1日の変動量は平均約60cm(最大350cm)に達したという。 5.地すべり発生機構 照来層群春来泥岩層の泥岩あるいは凝灰岩が地下水の作用により軟弱化・粘土化して地すべり面を形成し、地すべり変動を発生せしめた。ことに、 融雪期の地下水の増大は地すべりの誘引となることが多い。地すべり面は、層状に同種の岩石が連なるので、地層面に沿って発達し、全体として流れ盤型―層すべりの変動である。 地すべりは通常はクリープ型の運動を示すが、深層にあたる大規模変動の場合はスライド型の運動を示すことがある。 |
地すべりの特徴 丹土地すべり平面図 |