地すべりの概要
1.地すべりの概要
・ 朝来郡生野栃原地内にあり、JR生野駅より約4.0km東へ行った栃原川支流倉谷川の左岸に位置し、末端部は町道栃原穴粟線が横断している。
・ 平成2年、3年に護岸の変形や山腹内に亀裂が発生するなど地すべり活動が活発であった。
・ 平成3年から災害関連緊急地すべり防止事業や地すべり防止事業を行っている。
2.地形・地質概要
・ 生野高原裾野の標高400〜550mに位置する南西向き斜面で、末端部は倉谷川左岸を西側に押出している。
・ 標高425m付近、450m付近、505m付近にテラス状の平坦面が認められ、平坦面間は勾配約20°の平衡斜面からなり、周辺の急峻な斜面とは大きく異なる。
・ 地すべりの両側壁から冠頭部は明瞭な馬蹄形をなし、地すべりの下部は河川へ突き出た凸地形で過去にも地すべり活動があったことがうかがえる。
・ 白亜紀後期〜古第三紀生野層群の最下部塁層に対比される黒色頁岩を挟在する凝灰角礫岩を基盤とする。その上位に中部塁層に対比される安山岩および同質火砕岩、流紋岩質溶結凝灰岩が重なる。層界に水中堆積岩を挟んでいる。
・ 移動層の大部分は、層厚30〜40mで斜面全体を覆う溶結凝灰岩や安山岩質火砕岩及びその崖錐堆積物からなる。
3.素因・誘因
・ 地すべり状況
(1)平成2年9月台風19号の豪雨により町道栃原穴粟線の路体流出、その後も山腹崩壊等が発生し、地すべり活発化。
(2)平成3年6月、町道上部の山腹に亀裂(落差最大2m)発生。
(3)昭和47年6月、隣接地域に地すべり性亀裂発生し、集水井工5基や山腹工施工。
・ 水文特性
地すべり地内には湧水や伏流水が数多く認められるものの、表層は巨礫を混入する火砕岩で広く覆われており、水系の連続性は乏しい。
・ 素因
(1)基岩面上面に沿って粘土化部が存在すること。
(2)J1すべり頂部は、北西から南東に延びる断層位置にほぼ一致しており、断層に規制されたすべりであると考えられる。
・ 誘因
(1)基岩上面の粘土化付近にある顕著な地下水。
4.対策工
・ 間隙水圧が上部斜面で大きく下部斜面に連続しておりかつすべり深度が深いので、集水井連結工を行う。
・ 抑止工は、杭打ち工とアンカー工を行う。
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