北海道農政部所管              大江地すべり            北海道


地すべり地遠景(D・E・Fブロック)




位置図
地すべりの概要
1. 地すべりの概要
 大江地区は、札幌市の西方約50kmの後志支庁管内仁木町字大江に位置する。平成44月頃から地すべり活動が顕著になり、農地および排水路に被害を与え、平成68 月に地すべり防止区域に指定される。指定区域の面積は19.70haであり、AFブロックに区分される。このうち、E・Fブロックの冠頭部をJR館線が走行しており、地すべり活動を詳細に把握する必要性から、自動観測システムを設置し観測を行っている。

2.地形・地質概要
 本地区の西側には南北方向に連なる山稜があり、東側には余市川が北に流れる。

3.地質概要
 本地区付近には新第三紀中新世の積丹層群泊累層が分布する。下部は礫岩・粗粒砂岩、中部は玄武岩を伴う砂岩・頁岩、上部は頁岩からなる。その上位は、第四紀更新世の余市川礫層や完新世の崖錐堆積物に覆われている。
 本地区内での泊累層は北北西〜北東方向の走向で、東に15゜〜30゜傾斜しており、地すべりに対しては流れ盤になっている。

4.地すべり状況
 
地すべり活動はD・E・Fブロックで確認されている。
 1)ブロック
 幅約150m、長さ約、最大層厚20mである。すべり面は泊累層と余市川礫層の境界に位置する。地すべり活動は、45月の融雪期と812月の長雨の時期に観測される。
 2)Eブロック
幅約100m、長さ約100m、最大層厚約mである。すべり面は泊累層の風化部に位置する。地すべり活動は45月の融雪期と812月の長雨の時期に観測される。
 3)Fブロック
 幅約150m、長さ約200m、最大層厚約15mである。すべり面は泊累層の風化部に位置する。地すべり活動は融雪期に観測される。

5.地すべり発生機構
素因
・基盤の泊累層が流れ盤に構造になっている。
・泊累層は固結度の低い泥岩・砂岩および礫岩より構成されている。
誘因
・融雪期および長雨時期の地下水位の上昇

6.地すべり対策工事
1)計画安全率
 現状安全率をFs=0.95とし、地すべり冠頭部にJR線が走行していることから計画安全率Fsp=1.20とした。
2)対策工の検討
対策工は、水路工・明暗渠工・集水井工・横ボーリング工を計画した。抑制工によって計画安全率が確保できない場合は、鋼管杭工を検討した。

地すべりの特徴
 大江地区平面D ・E・Fブロックの上部をJR函館線が走行している)
 Dブロック対策工平面図
Dブロック対策工断面