国土交通省所管    沖万別(おきまんべつ)地すべり 北海道

沖万別地区地すべりブロック区分図

掲載号:vol.25 No.3(1999年、通巻75号)

1.地すべりの概要
 沖万別地すべりは北海道の東部、厚岸郡厚岸町大字苫多村に位置し、JR根室本線門静駅から南西約3kmの海岸線に面する。 同地区を含めた海岸線は昭和62年12月22日に農林水産省告示1593号の沖万別地すべり防止区に指定されている。
 当地区周辺は、海岸に沿って古い地すべり地形が随所に見られる地すべり多発地帯である。末端部は波浪侵食を受けるため、斜面は常に不安定となりやすい。
 A、B、Cの3ブロックに区分される。滑動範囲は尾根部付近から海岸までの約300mの範囲に及ぶ。
 すべり面付近には被圧地下水が存在し、その圧力水頭は最大で16mに達する。 また、Cブロック西側側面は既に15mにおよぶ急崖が連続し、各地すべりブロックの境にも大きな段差が生じている。各ブロックの中ではAブロックが最も標高が低く、 地すべり土塊が抜け落ちたような凹地をなしている。

2.地形・地質概要
 地すべり地周辺の地形は、尾幌原野と厚岸湾に挟まれた北東から南西に連なる標高80m以下の起伏に富んだ台地である。
 地層は白亜紀根室層群の尾幌川層群。頁岩・シルト岩主体。細粒砂岩の薄層が介在している。地すべり地内全体は泥岩・砂岩で構成されている。
 地層は東西性の走向を有し、10°〜20°S(厚岸湾)に傾斜する単斜構造を示す。
 地すべりの移動方向は、地層の傾斜方向とほぼ一致する流れ盤の地すべり。横断形状は集水斜面形を呈している。

3.素因・誘因
(1)素因
 流れ盤構造
 末端部波浪浸食
 被圧水の存在
(2)誘因
 浸透地下水(間隙水圧の上昇)

4.対策工事の概要
 排土工、抑え盛土工(根固工)、集水井工、暗渠工

地すべりの特徴
 (1) 空中写真判読による地すべり地形の変化
 (2) 地すべりブロックの特徴(表)
 (3) 地すべりブロック模式断面図(Bブロック)
 (4) 対策工平面図
 (5) 年度別対策工実績(表)