国土交通省所管      安平志内(あびらしない)地区地すべり 北海道


安平志内地区地すべり平面図

                                  掲載号:vol.25 No.3(1999年、通巻75号)

1.地すべりの概要
 道央部北端、中川郡中川町佐久市街より,南東10kmほどの丘陵地に位置する。平成2年10月2日に農林省告示により地すべり防止区域指定(指定面積140.14ha)。
 地すべり現象は,これまで豪雨や融雪期の際にたびたびクラック発生や河川への土砂の押し出しが認められている。近年では,昭和56年の大雨と昭和62年の融雪期に大きく変動し,一時的に川幅を狭めたとされる。
 幅約250m,長さ約500mA,B,C,Dの4ブロックに分けられ,何れも地形の最大傾斜方向へ移動している。地すべり変動は,融雪期にやや大きくなる傾向にあるが,降雨とはほぼ無関係で慢性的に変動する。変動が顕著なブロックは,A及びBブロックで,この区間の河川流路は対岸側に押されて不自然に曲がっており,地すべり滑動は相当以前から継続していたことがうかがわれる。
 当地区の初生すべりの発生年代はおよそ7,000〜10,000年前と推定される。

2.地形・地質概要
 当区域は最高点(標高230m)が南東部にあり,そこからの稜線が北西と北東方向へ延びている。地すべりはこの稜線の北東側斜面にあって,その先端を安平志内川と接している。
 地すべり斜面は,最上部の滑落崖を除くと平均10度前後の比較的緩い傾斜をなしており,全体に地すべりによる荒廃が著しい。
 地すべり地の地質は,白亜紀上部蝦夷層群大曲層の泥岩・砂岩の互層を基盤とし,これを覆って地すべり崩積土が分布する。泥岩,砂岩とも一般に軟質岩で,特に泥岩は風化に弱く,短期間で土砂化する。地質構造は,南北の走向で西に30°〜70°で傾斜する「受け盤」構造である。

3.素因・誘因
(1)素因
 地すべり崩積土の分布
 末端部河川浸食による受働土塊の欠損
(2)誘因
  凹地形に起因する高い地下水

4.対策工事の概要
 集水井工、横ボーリング工,礫暗渠工、水路工、押え盛土工

地すべりの特徴
 地すべり断面図
 地すべり変動図