国土交通省所管       志井地区地すべり 広島県

   

地すべり全景             位置図

                 
              「斜面防災技術」掲載号:Vol.39,No.1(2012年,通巻115) 

                    

地すべりの概要

1.地すべりの概要
 平成17年の台風14号により、太田川水系水内川の左岸側に位置する東向き斜面で地すべりが発生した。土塊は8m程度移動し、地すべり頭部の家屋1棟、移動土塊上の市道が全壊し、末端部の流動化により国道488号及び水内川に土砂が到達した。

2.地形・地質概要
 当地区は、標高360m付近の河床から標高400m付近まで平均勾配17°程度のなだらかな地形をなし、斜面末端部に国道488号線が通過している。当地区一帯の地質は、輝緑凝灰岩及び凝灰岩と黒色千枚岩及び粘板岩とされている。当地一帯の基盤には塩基性岩フォルンフェルス、泥質岩フォルンフェルス及びその互層が分布し、大局的に流れ盤構造を呈している。また、細粒花崗岩や花崗斑岩の貫入岩脈も認められる。露頭サンプルでで行ったX線回折では、リニアメントや断層周辺でスメクタイトが確認されている。

3.地すべり機構
 
地すべり発生機構は次のように考えられている。@過去の土砂移動で谷地形に崩積土が堆積し、下部が侵食で土砂流出していた。A台風14号で地表水や地下水が大量に供給され、地下水位が上昇した。B本体地すべりが東に向かって約8m移動した。C末端部が崩壊・流動化し土石流が発生した。D北側斜面の末端にあった擁壁が倒壊し、二次的なすべりが発止した。また、南側斜面でも表層崩壊が発生した。

4.対策工
 本体すべりに対しては、頭部排土工と押え盛土工を採用し、横ボーリング工を併用した。押え盛土は湧水処理のために切込採石を使用した透水層を設けた。
北側斜面すべりに対しては、アンカー工による抑止工を、南側の表層崩壊は吹付枠工を採用した。


地すべりの特徴

被災状況平面図

志井地すべり断面図

地質図

地すべり発生機構モデル図

対策工法計画平面図

被害状況写真