1.地すべりの概要
広島県北端の三次市内を流下する神之瀬川と茂田川の合流点より北西へ約地点に位置する。地すべりは第三紀層の上位に堆積する崩積土中に発生した慢性型地すべりである。昭和40年をはじめ大雨が記録された昭和47年、58
年に著しい地すべりが発生し、平成6
年7月に地すべり防止区域として指定された。
面積27.58haで、家屋が16戸、その他耕地のほとんどが田および畑として利用されている。
2.地形地質概要
この付近は、茂田川沿いの沖積低地と丘陵地からなる。標高240〜260m付近に低地と山地の境界があり、この境界部分に上布野・二反田断層が走っている。当地はこの断層に支配された地すべり地形を呈している。
地質は、中生代白亜紀の高田流紋岩や花崗斑岩を基盤とし、この上位を中新世の海性の堆積物である備北層群が区整合に被覆している。
3.誘因と素因
素因として、
・ 二反田逆断層に支配された地すべりで、備北層群上に崩積堆積物が分布する。
・ 備北層群や花崗斑岩中に地層水・浸透水を帯水し広域的な風化が進行する。浸透水は断層・破砕帯に沿って上昇し地すべり区域内へ流入する。
誘因として、
・ 備北層群を不透水面として、浸透水・地層水がすべり土塊を軟弱化させた。
・ 集中降雨に伴う浸透水の増大で、地下水位が上昇し土塊のバランスを失った。
4.対策工
横ボーリング工による地下水排除工を主としての計画・施工が実施された。また、計画安全率を満足しない地すべりブロックについては、抑止工としてアンカー工を施工した。
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